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23歳青年オーナーは“没落のプレミア常連クラブ”を復活させられるか 就任10カ月で次々と打ち出す改革とは《Netflixでも特集》
posted2021/12/12 17:01
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Justin Setterfield/Getty Images
Netflixのシリーズに『サンダーランドこそ我が人生』というオリジナルドキュメンタリーがある。
2016-17シーズンに11年ぶりの2部降格が決定した後のサンダーランドAFCが舞台。1年でのプレミアリーグ再昇格を目指すチームやフロントの様子を撮り、試合や移籍市場の裏側がリアルに描かれている。
2009年からクラブを所有していたアメリカ人実業家のエリス・ショートは、実にサンダーランドへのリスペクトを欠いた人物だった。チームが上手くいっている時にはお金を出すが、上手くいかないと見るや財布の紐を締める。ビジネスマンとしては正しい男だが、クラブを応援するファンの存在など彼の頭の中にはない。
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チームはプレミアリーグ昇格はおろか、チャンピオンシップ(2部)残留すら達成できずに、2年連続の降格という屈辱を味わう。クラブが一番苦しい時に資金調達の打ち切りを決めたショートの判断には、経営陣も憤りをあらわにした。
3部降格が決まった直後に、ショートはサンダーランドの負債の完済とともにクラブの売却を発表。もちろんファンは完済の喜びよりも、クラブを助けなかったことへの怒りが大きかったようだが。
シーズン2では経営健全化も再昇格を逃した
ドキュメンタリーのシーズン2では、そんなショートからクラブを引き継いだスチュワート・ドナルドのもと、2部昇格はもちろん、クラブ運営の健全化を図る姿が映されている。経営危機に瀕していたクラブは徐々に回復を見せていたが、チームが1年での再昇格を逃したところで、シーズン2は幕を閉じた。
それから1年半後、サンダーランドに再び大きな変化があった。キリル・ルイ・ドレフュス、イングランド史上最年少23歳のオーナーの誕生である。
彼の生い立ちについては前編で説明したとおり。そして2020年12月に当時オーナーのドナルドと、クラブの株式の半数以上を獲得する取引が成立した。
心からクラブとファンに寄り添う姿勢をみせていたドナルドは、ショート元会長が残した負債(ショートは各所と分割返済の契約を取り交わしていた)を完済し、無借金経営でドレフュスに引き継いだ。
さて、就任して10カ月ほどが経つ新オーナーはこれまでサンダーランドで何をしてきたか。