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「真ん中に投げるくらいで、絶対、大丈夫」カープのセットアッパー候補・島内颯太郎が今季得た自信と飛躍のきっかけとは 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2021/12/08 06:00

「真ん中に投げるくらいで、絶対、大丈夫」カープのセットアッパー候補・島内颯太郎が今季得た自信と飛躍のきっかけとは<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

九州共立大学を経て、18年ドラフト2位で広島入りした島内。3年目の今季は自己最速タイの157キロを記録するなど活躍を見せた

 技術面の進化もある。昨季までは信頼できる球種でなかったチェンジアップが、改良によって投球の大きな軸となった。きっかけは昨オフの何気ないキャッチボール。広げた人さし指と中指に縫い目をかけた握りから、縫い目に沿って握る九州共立大時代までの握りに変えると、「コントロールもしやすいし、感覚がすごく良かった」。これまでにない好感触を得た。

 真っすぐに頼り切っていた力で押す投球から奥行きが生まれ、マウンド上の心にも余裕がうまれた。右打者には真っすぐ落とすイメージで、左打者には逃げるように落とすためリリース時に強く手首を返す工夫も入れた。勝負球としてだけでなく、カウント球にも使えるようになった。

「昨年はほぼ真っすぐ一本で勝負しているような感覚だった。意識しすぎてボール球になって、その次はボールにしちゃいけないとか……。でも今年はチェンジアップを続けたり、打者の反応を見ながら投球できるようになり、有利なカウントに持って行きやすくなった」

データが示すチーム1位のコントロール

 投球の変化は数字にも表れた。セイバー・メトリクスの指標のひとつである「K/BB」は、運に左右されにくい投手の能力「制球力」を表している。好投手ならば2.00以上といわれ、3.50を超えれば優れている投手とされる。これまでの島内は、19年1.74、20年1.71と並みの投手だった。だが、今年は3.64と一気に上げた。広島で3.50を上回った投手は島内ただひとりだった。

「僕自身は特別コントロールが良くなったという感覚はない。どちらかというと、ひどいボール球も投げてしまっていた。コースに投げきれる技術もまだない。ただ打ち損じるような強い球を投げてやろうという考え方になった。ゾーンで打者と勝負することで四球が減った」

 奪三振率は下がり、被打率が上がった。それでも防御率は向上し、登板機会が増加。チーム内での立場も変わった。

 3年目の今年は51試合で0勝2敗、15ホールド、防御率3.12。登板数、ホールド数、防御率でキャリアハイをたたき出した。そんな数字も、周囲は物足りないと思っている。これまでと違うのは、島内自身がこの数字に誰よりも満足していないことだ。

「昨年のこの時期とは立場が違う。やらないといけない立場だと自覚している。もちろん勝ちパターンに入るくらいの気持ちでいます」

 そこにはもう、不安や迷いは感じられない。

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