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「落合さんの技術を盗みたい」「彼ほど誤解されている人もいない」立浪和義が憧れ、三冠王バースと王貞治が称えた落合博満の《天才性》 

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posted2021/12/01 17:06

「落合さんの技術を盗みたい」「彼ほど誤解されている人もいない」立浪和義が憧れ、三冠王バースと王貞治が称えた落合博満の《天才性》<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

落合博満の究極の打撃論には、多くの野球人が驚嘆している

バース「落合には弱点なんてない」

<名言2>
おそらく、落合には弱点なんてないんだろうけど。
(ランディ・バース/Number154号 1986年8月20日発売)

◇解説◇
 長年にわたってプロ野球を見続けた人々、何より阪神ファンにとって史上最高の外国人スラッガーと言われれば、条件反射でランディ・バースの名前を挙げるだろう。

 メジャー通算9本塁打だったバースは83年に阪神入団後、35本塁打、27本塁打と関西の地でその打棒が覚醒。掛布雅之や岡田彰布らとのダイナマイト打線が完成し、リーグ優勝を果たした1985年には打率.350、54本塁打、134打点で三冠王に輝いた。

 バースの打撃は翌86年にさらなる進化を見せる。シーズン打率はNPB史上最高となる.389をマーク。この数字は落合だけでなくイチローや内川聖一、青木宣親ら現代のアベレージヒッターでも更新できておらず、「最も4割打者に近づいた」成績だった。さらには47本塁打109打点と、2年連続での三冠王にも輝いたのだ。

「誰も落合に対してこういうことを言わないのにね」

 そんなバースは、対戦相手としては脅威でしかない存在だった。メディアも「バース攻略法」をしきりに話題にて、86年シーズン途中に本人はこのように嘆いていたことがある。

「ぼくは日本語がわからないけど、『バース』という言葉や、テレビでぼくの『弱点』がどれだけ話題になってるのかぐらいはわかるよ。しょっちゅう聞いてるからね。誰も落合に対しては、こういうことを言わないのにね。マスコミだって、『落合打倒法』なんて全く話題にしないものね」

 当時パ・リーグのロッテ所属だった落合との注目度の差を少し皮肉った。ただしバースは同じ三冠王である落合の実力を誰よりも認めていた。そうでなければ「弱点なんてない」という最上級の賛辞を口にしないはずである。

【次ページ】 落合くんの発言は、どうも真意が伝えられていない

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