月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
国民栄誉賞に紅白審査員…政権も何もかもが乗っかりたがった“大谷翔平のMVP” 「大谷翔平美容」「ハリツヤ大谷肌」って何?
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/12/01 06:00
11月15日、日本記者クラブで会見を行った大谷。100名もの報道陣を前に、約1時間にわたりさまざまな質問に答えた
取材に対し福本氏は、
《ボクが国民栄誉賞を辞退した理由は、おもしろく伝えられている。「立ちションベンができなくなるから」と言って断ったと。真意はそうじゃない。国民の模範となれるか? そう考えると、自分の行動に自信が持てなかった。酒は飲むし、当時はたばこも吸うし、マージャンもしていた。とてもじゃないが、品行方正と呼べる人間じゃなかった。だから、辞退させてもらった。》
なるほど。そりゃそうですよね。
《そんなたとえ話のひとつとして「酔っぱらったら立ちションベンもする」と言ったのが“福本伝説”みたいになってしまっているけどね。》
やっぱり「立ちションベン」って言っていた。こちらが油断したらホームスチールまで決められた気分です。
国民栄誉賞は誰のため?
ちなみに報知の「記者の目」は、大谷翔平は《野球に直結する勲章に関しては常に貪欲な姿勢を示してきた。(略)辞退は、野球以外のことにあまり関心を示さない大谷らしい決断といえる。》(11月23日)
大谷選手はおじさん達の思惑に振り回されなくていいと思う。それにしても国民栄誉ってどんな判断基準があるのだろう。いろいろ読んでみたら、
《授与の判断はあいまいで、時の政権の腹づもり1つだ。(略)腹づもりと引き換えに「人気者の政治利用」との批判が出る場合も多く、タイミングや対象人物に、かなりの慎重さが求められるのも事実だ。》(日刊スポーツWEB・11月28日)
判断は恣意的なのである。そういえば昔、美空ひばりさんと手塚治虫さんが亡くなった年になぜ前者だけ国民栄誉賞なのかという議論、もしくは野次馬の意見があったことを思い出す。でも時の政権の恣意的な判断とすると途端に議論が終わる。国民栄誉賞は当初から政府の話題作りのためのイベント・セレモニーでは?と言われてきた。福本豊にしろイチローにしろ大谷翔平にしろ、誰かの負担になるならそろそろ考え時なのでは。