甲子園の風BACK NUMBER
小園健太も認める《練習の虫》市立和歌山の新・速球派エースが目指すものとは? センバツ視察スカウト「あの2年生も面白い素材」
posted2021/11/26 06:00
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Sankei Shimbun
また、市和歌山から速球派のエースが現れた。
米田天翼の評判を聞いた者は、きっとそう思ったかもしれない。
市和歌山と言えば、昨秋から最速152キロのストレートを操る小園健太の名前が広く知れ渡った。ストレートの凄みだけではなく、スライダー、カットボール、2種類のツーシームなど多彩な変化球を面白いように操る。さらに絶妙なコントロール力も持ち、ピッチングの引き出しは未知数で、今年の高校2年生投手の中ではトップクラスの評価を得た。今秋のドラフト会議では1位指名の阪神と競合の末、DeNAが交渉権を獲得している。
そんな大エースの背中をずっと見てきたのが1年下の米田だった。
身体は174cm、78kgと小園に比べるとひと回り小さい。だが、その身体に詰め込まれたパワーは計り知れない。
「あの2年生も面白い素材」
今春のセンバツ。2回戦の明豊戦で先発マウンドに立った米田は、初の大舞台にも物おじせず4回を投げ4安打1失点。エースの小園が注目される中、力のあるストレートは142キロを計測し、堂々たるピッチングを披露した。その当時から「あの2年生も面白い素材」と、マークするNPBスカウトも少なくなかった。
今夏の県大会で唯一マウンドに立った3回戦・田辺工戦では、初回からいきなり自己最速の146キロをマーク。2回には148キロと更新し、炎天下にもかかわらず投げるごとにストレートはうなりを上げた。結局、7回を投げ切り、10奪三振、4安打無失点。特筆すべきは与えた四球はわずか1つだったことだ。
「小園さんが8割の力で投げているところを参考にしました。ストレートで押し切るところは押し切って、かわすところはかわすピッチングができました」