酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「歴代12人だけの投手4冠」山本由伸でも《完全クリアできない7項目》 沢村賞は“現代野球の尺度に合ってない”のでは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2021/11/25 11:04
山本由伸は日本シリーズ第1戦の投球内容でも“普通”レベルなのだから恐ろしいスーパーエースである
2018年のナ・リーグは、18勝のジョン・レスター(カブス)などを差し置いて10勝のジェイコブ・デグロム(メッツ)が受賞している。
NPBもMLB同様、野球が大きく変わっている。変化を容認すべき時に来ているのだろう。
「沢村の時代と同じような活躍の投手」ではなく
「沢村賞の権威を損なってまで賞を与える必要はない、該当する投手が出た時だけ授与して、あとは該当者なしにすればいい」
という意見もあるだろうが、そうするのであれば「そのシーズンで最も活躍した先発投手に与える」という賞の趣旨を変えるべきだろう。
沢村賞のコンセプトは「沢村栄治と同じような活躍をした投手に賞を授与する」ではなく、投球スタイルは変わっても「沢村と同様、エースとしてチームをけん引した投手に賞を与える」だと思う。
12月2日で、沢村栄治が没して満77年になるが――自身と大きく異なる成績の投手が授与されたとしても、泉下の沢村も納得してくれると思うのだが。