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「コレクティブな意志は示したが…」オマーン戦の最少得点勝利をトルシエが高評価する理由と突破への課題 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/11/22 17:03

「コレクティブな意志は示したが…」オマーン戦の最少得点勝利をトルシエが高評価する理由と突破への課題<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

多くの改善点を指摘しつつも、トルシエは日本代表の「勝利への意欲」を評価した

――そんなに良かったでしょうか。

「たしかに日本の欠点は、動きが効果的でないことだ。その点では大きな進歩はなかった。ただ多くのチャンスを作り出したわけではないが、コレクティブな意志はたしかに存在したし、前に行こうとする意欲もあった。試合をよくコントロールし支配した。森保のコーチングも、攻撃をさらに強化するのを躊躇わなかった。選手交代からも、絶対にこの試合に勝つという意志が感じられた」

――勝利に値する試合ではありました。

「得点は1点だがゲームを支配したのは間違いなく、ボールを保持して野心も示した。とはいえ厳しい試合だったのは確かで、オマーンはシリアスな戦いを挑んできたし、攻撃に関しては、とりわけ効率の点でさらに進化する必要はある。フィニッシュが不十分で何かが欠けている。

 しかし日本のレモンターダはすでに始まっている(註:「レモンターダ」とは大逆転の意。元々はバルセロナとパリ・サンジェルマンの間で争われた2016~17シーズンのCLラウンド16で、アウェーの第1戦を0対4で落としたバルサが、ホームに戻ってPSGを6対1と下し――しかも2点はアディショナルタイムに入ってからの得点――奇跡の大逆転を成し遂げたことをスペインメディアはそう呼んだ。この言葉はスペイン語ながらフランスでも定着し、もの凄く困難な状況からの復帰や逆転が起こったときにレモンターダと呼ぶようになった)。3試合に連勝した日本は戦いの最前線に復帰し、自力で予選を突破する可能性を得た。

1対0は妥当な結果とは言えない

 ここに至るまでに疑念や不安、受けた批判を考えれば簡単ではなかった。コロナの影響もあり、選手を集めるのも難しかった。そのうえでのベトナムとオマーンとのアウェー2連戦だ。日本は自分たちの仕事を完遂した。ビッグゲームではなかったが、負けが許されない試合で、完全にイニシアチブを握ったのに加えてコレクティブな意志も示した。多くの選手がゴール前に進出したしサポートも多かった。2番は右サイドで何度となくオーバーラップした。名前を何といったか?」

――山根です。

【次ページ】 試合の流れを変えた三笘の投入

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