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大谷翔平の率直な評価は? 「2年後には史上最高給の選手に」だけではない、4人のMLB著名記者が語った本音とは
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byNanae Suzuki
posted2021/11/19 06:00
“二刀流”で2021シーズンを完走した大谷。目の肥えたMLB記者たちの評価は?
彼はまったく違う世界を生きている
「ルースを超えて投打走の次元が違う」
ケン・ローゼンタール(『The Athletic』シニア・ライター)
忘れてはいけないのが、今季はコロナウイルスの影響で球場に観客が入るには大きな制限があったこと。今季はそんな状態から始まったのです。開幕当初は20%ほどの収容しか許されなかった。そんな中で大谷翔平はメジャーリーグに明るい光を灯してくれた。二刀流だけでなく、見事な走塁や盗塁、外野の守備にも就いた。今まで見たことのないパフォーマンスをどんどん披露してくれた。彼の投打にわたる活躍は「ベーブ・ルース以来」と表現されたが、彼がやっていることはルース以上だった。ルースはあんなに足は速くありませんから(笑)。
オールスターだってそうでした。昨年はコロナで開催さえできなかった。今年は満員の中でいつもの興奮を味わえたのは本当に素晴らしいことだった。その最高の盛り上がりを作ってくれたのが大谷翔平だった。彼が今年のオールスターを特別なものに格上げしてくれた。先発投手が1番打者を務めホームランダービーにも出るなんて、こんなこと今までにありませんでしたから。まさに夢の球宴にふさわしい。
大谷はベースボールの長い歴史において、最高の投手であり、最高の打者であり、最高の走者です。あらゆる人種を含めた中で、彼はまったく違う世界を生きている。世界最高の選手の集まりの中で大谷はひとり違う次元にいる。そういう選手だと思います。
60本塁打への期待もかかりました。大谷に数字の制限はありません。今季がそうであったように大谷のやることは予測さえもつきません。唯一心配なことは怪我でしたが、無事にシーズン後半を迎えている。突発的に何が起こるか分からないのも野球ですが、体調管理という面ではジョー・マドン監督らとともにここまで本当に巧くやってきました。前例がない中で本当に素晴らしい。
本塁打に関して言えば、少なくとも50本塁打は打つでしょう。それで二桁勝利、盗塁だって25はいくかもしれない。ベーブ・ルースの二桁勝利、二桁本塁打は1918年の13勝と11本塁打だけです。その時は盗塁が6だった。大谷が異次元にいることがよくわかる。
現在、メジャー4年目の彼にはあと一度だけ年俸調停がある。もうすでに大金は手にしたようなものですが、その後はフリーエージェントになる。今後、健康を維持してすべてが計画どおりに進めば、彼が得るお金は途方もない金額になるでしょう。4億ドル(約440億円)? もっと? 本当に予測さえつきません。彼は前例のない選手ですから。その一方でプロスポーツ界が大きく変わっていくかもしれません。今季終了後に結ばれる新たな労使協定ではフリーエージェントのあり方も変わるかもしれません。誰にも分からないんです。ただ、大谷にはたくさんのことが起こり得ることだけは言っておきましょう。そして間違いない事実は、彼の契約には果てしなく0がたくさん並ぶことになるでしょう(笑)。
(interview by Koji Sasada)