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大谷翔平の率直な評価は? 「2年後には史上最高給の選手に」だけではない、4人のMLB著名記者が語った本音とは

posted2021/11/19 06:00

 
大谷翔平の率直な評価は? 「2年後には史上最高給の選手に」だけではない、4人のMLB著名記者が語った本音とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

“二刀流”で2021シーズンを完走した大谷。目の肥えたMLB記者たちの評価は?

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Nanae Suzuki

ア・リーグMVPが確実視される大谷翔平ですが、実際に現地記者たちはどのような評価をしているのでしょうか。著名コラムニスト4人に聞いた『Sports Graphic Number』の記事を特別に公開します。<初出:1035号(2021年9月9日発売)「大物コラムニストたちが見た“SHO-TIME”」、肩書などはすべて当時>

「夢と明るさでMLBを救った」
ボブ・ナイチンゲール(『USA TODAY』コラムニスト)

 大谷がメジャーリーグに与えた貢献は計り知れない。日本人選手の貢献という点では、私は野茂英雄を思い出す。当時は“野茂マニア”という言葉が生まれた。彼がやり遂げたことは歴史的であり、ジャッキー・ロビンソンと同様で失敗はできないというプレッシャーは相当なものだった。彼が扉を開けたことで大谷は後に続くことができたと私は思う。

 26年が経った今、“大谷フィーバー”は野茂とは比較ができないほど大きなものとなっているね。理由はふたつ。大谷が二刀流であること、加えて巨大な影響力を持ったソーシャルメディアの存在だ。時代を感じる。

 大谷には「60本塁打」が期待されていたと思う。だが、60は巨大な数字だ。バリー・ボンズ(ジャイアンツ)、サミー・ソーサ(カブス)、マーク・マグワイア(カージナルス)が'90年代後半から世紀を越えて達成したが、ステロイド使用の疑いなしに60本塁打を打ったのは1961年のロジャー・マリス(ヤンキース)が最後だ(61本)。その前が1927年にベーブ・ルースが放った60本だ。現実的に大谷の60本塁打は難しくなった。どんな投手だって注目度の高い大谷に本塁打は打たれたくないからね。マイク・トラウトが戻ってきて大谷の後ろを打ちプロテクトしてくれるようになれば大きな助けになるだろう。復帰が早ければ大谷の本塁打が増える可能性はある。いずれにしろ、大谷が投打両面でやっていることは、今までの野球の常識を覆すとてつもないことだ。

 健康を維持し、このレベルで二刀流を続ければ、フリーエージェントの資格を得る2年後には少なくとも総額4億ドル(約440億円)から5億ドル(約550億円)の契約をもらえるだろう。史上最高給の選手になる。年齢的に契約年数は7、8年かな。今のメジャーリーグには個人でお客を呼べる選手がほとんどいない。彼はチケットが売れる選手の1人であることは間違いない。今後のグッズ売り上げもとてつもない数字になるはずだ。現時点でも年俸にして6000万ドル(約66億円)くらいの価値がある。投手として2000万ドル(約22億円)、打者として2500から3000万ドル(約27億5000万円から33億円)、両方やっているという付加価値も付くから6000万ドルだ(笑)。最も大きなお金を生み出す選手だから、5億ドルは妥当かもしれないな。

 二刀流大谷の活躍はコロナ禍で停滞したメジャーリーグを救ってくれた。お客さんを球場に戻し、何よりも夢のある明るい話題を提供してくれた。今年のオールスターゲームもそうだった。本塁打競争に出場した選手が球宴で先発投手を務め1番打者として出場した。昨今のオールスターは出場を辞退する選手が多いけど、MLBの人間に「翔平まで辞退したらどうする?」と聞いたら、「オールスターゲームをキャンセルしなきゃいけない」と話していたよ(笑)。

(interview by Koji Sasada)

【次ページ】 「英語も上達していると確信できた」との絶賛も

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