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「そんな振れんのかい!」オリックス中嶋監督が一番安堵した吉田正尚の“弾丸ライナー” T-岡田「チームの雰囲気が全然違う」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2021/11/11 11:09

「そんな振れんのかい!」オリックス中嶋監督が一番安堵した吉田正尚の“弾丸ライナー” T-岡田「チームの雰囲気が全然違う」<Number Web> photograph by KYODO

レギュラーシーズンのホーム最終戦では、茶目っ気たっぷりのスピーチでスタンドを沸かせた吉田正尚。日本シリーズ出場へ、頼れる主砲が帰ってきた

 野球では超人的な技術を見せるが、吉田には人間味や愛嬌を感じさせる一面もある。CS初戦は、牛のような角がついたGIVENCHYのキャップを被って球場入りした。

「今日勝負やから。この日のために、おろしました」と笑った。

 10月21日に行われたレギュラーシーズンのホーム最終戦では、茶目っ気のあるスピーチでスタンドを沸かせた。

 骨折のため離脱していた吉田が、その日の試合後、グラウンドに姿を現しただけでもファンにとってはサプライズだったが、スピーチがさらに観客を喜ばせた。

 選手会長としてマイクの前に立つと、ゆっくりと間を取りながら話した。

『みなさんこんばんは。ナイスゲームでした。今シーズン、たくさん、京セラドーム大阪にきていただき、ありがとうございました。えー、たった今調べた情報によりますと、ホームゲームで貯金16ということで。これはやっぱり、ファンの皆様の声援のおかげだと思っております』

 大きな拍手が収まるのを待って、吉田は続けた。

『僕たち2年連続最下位というところからスタートし、ここにいるメンバー、そしてファームにいるメンバーも、悔しい思いをして、今、ここに、立っていると思います。ここから、またCS、日本シリーズと、しびれるゲームが続いていくと思いますが、まだ有休が残っている方は使っていただき、家族、友達と一緒に、僕たちと戦っていきましょう。本日はありがとうございました』

 スタンドからは笑いと拍手が起こり、吉田の後ろに整列していた選手たちもニヤリと笑った。

 青山学院大時代にも3、4番を組んでいた仲の杉本裕太郎は、「お前は有休使いすぎやろ。早く治してくれよ」と心の中で突っ込んだ。

【次ページ】 T-岡田「彼らしいスピーチ」

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