濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「“ラウンドガール不要論”をどう思う?」人気ラウンドガール・来栖うさこに“グラドル界と格闘技”の関係を聞いてみた〈特別グラビア〉
posted2021/11/10 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Shiro Miyake
キックボクシング大会『KNOCK OUT』には、ぱんちゃん璃奈をはじめ数多くの強豪選手が出場している。そのリングで輝いているのは、実は選手だけではない。
今年度のラウンドガールの1人、来栖うさこは人気グラビアアイドル。デビュー3年にしてすでにイメージDVDを9作発売している。これは業界でもかなりのハイペースだそうだ。
オーディションから「KNOCK OUTガールズ」に
これまで、ラウンドガールやレースクイーンといったジャンルは「オーディションでどうしても緊張してしまう」と避けていた。とはいえ経験としてもキャリアとしてもやっておかなくてはと「KNOCK OUTガールズ」のオーディションに参加。新メンバー5人の中に選ばれ、3月から活動を開始した。
「私のファンの方はなぜかプロレスも好きな方が多くて、少しお話は聞いてたんですよ。でも格闘技は有名な選手しか知らなかったので、合格してから『KNOCK OUT』の映像を見ました。会場に行ったのはラウンドガールのお仕事が初めてです」
映像を見て、会場ではリングのすぐ下のラウンドガール待機席で“体感”して、すぐに格闘技が好きになった。殴り合いだから怖いイメージもあったが、実際に見てみるとそんなこともなかった。
「会場で思ったのは、若い女性の方も意外に多いんだなって。ライブ会場みたいな雰囲気ですね。そういう面でも怖くありませんでした(笑)。それに私は、殺伐とした勝負の雰囲気もけっこう好きなんですよ」
ラウンドガールは「感情を揺さぶられる」仕事
ラウンド間のインターバルにラウンド表示ボードを掲げてリング内を周る。試合後には勝利者賞トロフィーを選手に手渡し、記念撮影。常に笑顔でいるのがラウンドガールの仕事だが、穏やかではいられない時もあるという。なにしろ選手の奮闘、苦闘、スタミナが限界を迎えた息づかいも勝利の咆哮もすべてを間近で味わうのだ。喜怒哀楽を直に“浴びる”と言えばいいだろうか。
「特に私は、どちらかというと負けてしまった選手に感情移入するタイプなんですよ。でも、お仕事としては勝った選手を祝福する立場。個人的な感情は表に出せないんです。感情を揺さぶられて泣きそうになってる時もあるんですけど」
敗れた選手の涙に感応してしまうし、リング上で勝者と敗者が称え合う場面にも「グッとくる」と来栖。
「下手したら死んでしまうかもしれないことをやっているわけですよね、選手のみなさんは。頑張っているのは試合だけではなくその過程、練習や減量もある。周りで支える人もいる。そういういろんなことを想像すると、余計に心が動きます」
“飾り”というだけではない
グラビアアイドルがラウンドガールとして格闘技の大会に“華を添える”。しかしそこには単なる“飾り”というだけではない部分がある。“見た目だけ”の存在と思われがちだが、もちろんそんなはずはないのだ。
ある試合で、劣勢の選手がマウスピースを吐き出した。だがレフェリーは試合を中断しない。そのまま闘いは続いて、その選手は敗れた。
「負けそうな時にマウスピースを自分から出して、試合を中断させて相手の攻撃を止めようとしたり、マウスピースを戻すまでの間に休もうとする選手がいるから止めないことになっているんだと聞きました。どんな手を使っても、ということですよね。勝ちたい、負けたくないからそういうことまでやるのか、そこまで必死なのかと驚きました」