〈新生・藤本ホークス始動〉常勝チームの復権は「柳田悠岐を育てた男」に託された　課題は“世代交代”だけでなく…

　新生・藤本ホークスが始動した。11月2日、本拠地PayPayドームでの秋季練習に、藤本博史新監督は宮崎でのフェニックスリーグの指揮を終えて初めて姿を現した。

藤本新監督に期待される「世代交代」

　練習冒頭。ナインが作る円陣の中心で“所信表明”を行った。

「今年結果は4位となったけれど、逆に良い意味でとらえていこう。秋のキャンプをしっかり出来るわけだから。今まではCSや日本シリーズで秋のキャンプはなかなか出来なかった。しっかり土台を作って、怪我人を少なく、個々のレベルを上げて来年に向けて頑張りましょう」

　いつものように物腰の柔らかい口調でハッパをかけた。見た目は「こわもて」だが、声を荒げるようなところを一切見たことがない。この秋の期間に向けての訓示を簡潔に行うと、最後はこんな言葉で締めくくった。

「明るく元気にいきましょう。よろしくお願いします、柳田くん」

　名指しされた背番号9から「はい！」と大きな返事が上がる。チームの顔をイジることの出来る監督と、絶妙な間と声のトーンでそれに応える主砲。場の空気がふっと和んだ。

　藤本に期待されているのが「世代交代」であるのは明白だ。2011年から11年間にわたって一、二軍の打撃コーチ、三軍監督、二軍監督を歴任した実績はもちろん、その中で発揮してきた若手育成手腕が高く評価されているというのが、今回の一軍監督抜擢の理由として挙げられている。

　そんな藤本はかねてから、このように認知されている。

　柳田悠岐を育てた男――。

　二軍打撃コーチとして指導者人生を歩み始めた11年は、柳田のルーキーイヤーでもあった。現在では球界を代表する超人バッターも、プロ1年目は一軍出場6試合で5打数ノーヒット3三振と苦しみ、大半は二軍暮らしだった。

　では、藤本はダイヤの原石だった柳田をどのように磨き上げ、超人へと仕立て上げたのか。

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