それが監督就任会見で話していた「選手に寄り添う」という言葉に現れていた。

　そして直近では、柳田に続く次代の大砲候補であるリチャードの“恩師”とも評される。

大砲候補・リチャードにかけた“厳しい言葉”

　藤本いわく「リチャードは若手ではメンタルが一番弱い」という。

「なので、試合前にはいつも『部屋に来い』と言って話をしました。2、3分ですけど。そのことでやる気を出す、本人がこうしたいというのを芽生えさせようとしました。他の選手も悩んでいたら相談を聞くし、寄り添うことはやってきました」

　優しい言葉だけではない。叱責することもあった。今夏もそうだ。五輪中断期間のエキシビションマッチでチームトップの2本塁打、9打点をマークしながら後半戦は結局二軍スタートとなった時だ。落ち込んでいるのか、不貞腐れているのか、そんな態度を見た藤本は「調整のつもりでファームにおるんか。オマエの実力が足りんかったからここにいるんやないのか」と厳しく言葉を放った。以来、リチャードは目の色を変えた。シーズン終盤に7本塁打を放って来季以降のブレイクの兆しを見せたのも、その言葉がなければ起こりえなかったかもしれない。

10月29日、新監督に就任し、王貞治球団会長と握手する藤本博史氏 ©KYODO

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常勝ホークス復権のカギは!?

　藤本新監督のもと、来シーズンは柳田とリチャードが3、4番の中軸に座って、打って打ちまくってV奪回し再び日本一へ――そんな夢を思い描くファンも多いだろう。先日、球団関係者からは「柳田は相当張り切っているみたいよ。『藤本監督を男にする』って」との話も聞いた。

　また、近年のホークスは複数ポジションを守れるユーティリティプレーヤーが重宝されてきたことでスケールの大きな打者が育ちにくい環境だった。藤本体制の下でどんな選手が台頭してくるのか。常勝ホークスの復権とともに、そこがまた非常に興味深い。