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“新庄剛志監督”誕生!超ド派手ハーレー登場&伝説のサヨナラ柵越えヒット…《仰天・新庄劇場》は復活する?
posted2021/10/30 11:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Tamon Matsuzono
<名言1>
今日のヒーローはぼくじゃありません……。みんなです!
(新庄剛志/Number832号 2013年7月11日発売)
◇解説◇
プロ野球再編問題から発展した日本初のプロ野球ストライキ明けの初戦、2004年9月20日のダイエー戦で日本ハムのSHINJOこと新庄剛志は、同点で迎えた9回裏2死満塁の場面でサヨナラ本塁打を放った。
一塁走者の田中幸雄は歓喜のあまりに新庄を二塁の手前で迎え、ふたりは抱き合ってその場で1回転。だが、これによって新庄は前の走者(田中)を追い越したことになり、新庄にアウトが宣告され、本来記録されるはずの本塁打は取り消された。
幸い、新庄が一塁まで到達し、アウトより先に三塁走者が本塁へ到達していたことで記録はサヨナラ適時打となり、サヨナラ勝ちは成立。「サヨナラ満塁柵越えシングルヒット」として記録されることになった。通算2012安打、287本塁打を放ち“ミスター・ファイターズ”と呼ばれた冷静沈着な男が平静さを失うほどの「新庄劇場」だった。
ちなみに、田中は「あれは、ぼくのキャリアの中でも最大の汚点ですから」と自らの失態を謝罪している(Number980号)。
さらに「劇場」はヒーローインタビューまで続いた。本塁付近でチームメイトから手荒い祝福を受けた新庄は、お立ち台に上がってこう言い放った。
「今日のヒーローはぼくじゃありません……。みんなです!」
レジェンドの失態もいまや笑い話。閉塞感を打破する新庄の底抜けの明るさに、田中も救われただろう。