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“超過酷”170kmトレイルレースUTMBはファン以外も感動する駅伝のようなレースだった
posted2021/11/06 11:00
text by
林田順子Junko Hayashida
昨年、コロナ禍の影響で中止を余儀なくされた、世界最高峰のトレイルレースUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)が2年ぶりに帰ってきた。
フランスでは衛生パス(ワクチンパスポートもしくはPCR検査などによる72時間以内の陰性証明書)の提示を条件に大規模イベントが解禁。
これを受けてUTMBも8月23日~8月29日の期間、ほぼ例年通りの規模で5つのカテゴリすべてが開催された。
とはいえ、メインレースのUTMBは、全長約170km、登りの獲得標高差10000m、制限時間は46時間30分。フランスをスタートし、イタリア、スイス、そしてフランスへと戻る、3カ国を巡ってモンブランを一周するレースだ。すべての国の条件をクリアするのはさぞかし大変だっただろう。
日本ではいまだに多くのレースが中止や延期となっている。UTMBはどんな感染対策を講じていて、どんな雰囲気で行われるのか。初観戦のため現地に飛んだ(全2回の1回目/後編へ続く)。
“マスク着用”のランナーたち
今回のUTMBの主な感染対策はこんな感じだった。
・選手はもちろん、ボランティア、メディア関係者も大会会場やエイドに入るときは、衛生パスの提示が必要。
ちなみにワクチンパスポートを持たない私たちは、大会当日の朝7時にクリニックでPCR検査と抗原検査を受診。昼過ぎにメールで届いた2種類の陰性証明書を提示して、ようやく取材パスを受け取ることができた。
・レベル別に選手を3グループに分け、30分おきのウエーブスタート。
例年よりもスタート時間は1時間前倒しになった。選手たちはスタートまで近くの広々としたゲレンデで待機。スタート地点への移動ももちろんマスク着用だ。
・スタート直後から約800mの間は、選手はマスク着用。また密の場所でもマスク着用。
ほとんどの選手が守っていることに驚いた。スタートラインに並んでいるときやエイドに入るときはもちろん、エイドを出る時や、ゴール後のインタビューを受けるときにマスクをするトップランナーもいた。東京オリンピックの閉会式でパリの人々のノーマスク姿が話題になったが、シャモニーでは街中でも思った以上にマスクをしている人が多かった。
・エイドステーションでは、選手はマスク着用と手指消毒が必須。補給はセルフサービスを廃止し、ボランティアスタッフが行う。
・密を避けるため、場所によってはエイドステーションの休憩エリアを拡大。