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「ゴルフを教えてほしかった」松山英樹に刻まれるジャンボ尾崎の大きな背中と左手の感触「ジャンボさんを超えることはできない。無理です」
posted2026/03/23 06:00
2013年4月、つるやオープンでプロ初優勝を飾った松山英樹。同大会でエージシュートを達成した尾崎さんと写真に収まった
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桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
SPORTS HOCHI/AFLO
その大きな手を、背中を、最初に目に焼き付けたのは小学生のときだった。
松山英樹の記憶にはゴルフコースを闊歩する尾崎将司さんの姿が今も残る。タイガー・ウッズが参戦した2000年代の日本ツアー・ダンロップフェニックス。ギャラリーのひとりとして訪れた宮崎県のフェニックスCCで、初めて“ジャンボ”を見た。
「まだ覚えてます。9番のティショットでした」
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尾崎さんは当時、50代後半に差し掛かった頃。それから十数年が経ち、松山がプロの世界に飛び込んだときもまだ現役選手でいてくれた。日本を代表する稀代のゴルファーのふたりの邂逅は、“ジャンボ尾崎”のゴルフへの飽くなき情熱がなければ実現しなかった。
大学生プロ松山英樹と66歳のジャンボ
2013年4月、眩いばかりのアマチュアキャリアをひっさげ、東北福祉大の4年生としてプロ入り。シーズン開幕第2戦、つるやオープンで早々と初優勝(アマチュア時代を含め日本ツアー2勝目)。後に賞金王に輝き、米ツアーへの進出を決めるシーズン最初のハイライトは、どこか運命めいたシーンに彩られた。
本大会の初日、尾崎さんは66歳にして、62(1イーグル、9バーディ、2ボギー)をマーク。日本のレギュラーツアーで史上初めて18ホールで年齢以下のスコアを記録するエージシュートを達成した。
快挙に沸き立った同じ日、2アンダー38位で静かにスタートした松山は翌2日目に63。決勝ラウンドでさらにスコアを伸ばし、最終日は4連続バーディフィニッシュという離れ業でタイトルを手中に収めた。
その後の表彰式に、尾崎さんはエージシュートの特別表彰という異例の形で出席した。快挙を称えられると、同じ場にいた別の表彰対象選手をどかし、多くのカメラマンの前で松山との2ショット写真に収まった。
