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大谷翔平MVPへの「プレーオフ進出が選考に影響するか」の懸念にマドン監督が猛反論…大リーガー、米メディアの最新評価は?《現地レポ》
text by
斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph byGetty Images
posted2021/10/19 17:01
7月に月間MVPを獲得して喜ぶ大谷翔平。シーズンMVPの行方はどうなるか
米「ベースボール・ダイジェスト」の選考結果は?
アストロズのジャスティン・バーランダー投手(38)の弟でFOXスポーツのアナリスト、ベン・バーランダー氏は大谷のMVP獲得をシーズン前から予想。現在も自身のポッドキャストなどで大谷推しを発信し続けている。また、米経済誌フォーブスの記者も独自のデータ分析で、各候補者の中から大谷1位を割り出した。
全米野球記者協会による投票の結果は例年、ワールドシリーズ終了後の11月中旬に発表される。その“本番”に先立ち、米野球専門誌「ベースボール・ダイジェスト」は10月7日、1969年から毎年行っているオリジナルの選考で大谷を野手部門の最優秀選手に選出。また、MLB公式サイトでは8月と9月に専門家による投票を行い、大谷が圧倒的多数の1位票を獲得した。これまでの米メディアの報道を考慮すれば、フィリーズの主砲ハーパー、ナショナルズのソト、パドレスのタティス Jr.ら今季のナ・リーグMVPが予想しにくい一方で、ア・リーグは大谷が独走と言っても過言ではない状況だ。
マドン監督「(大谷以外の候補は)みんな2位、3位、4位」
シーズン開幕からわずか1カ月半の5月中旬、大谷のMVP獲得への期待は既に高まっていた。17日、本拠地エンゼルスタジアムでのインディアンス戦でリーグ単独トップとなる13号本塁打を放つと、試合後のヒーローインタビューに呼ばれた。スタンドに残っていたファンから響き渡る「MVP!MVP!」の声。本塁打を量産した6月になると、本拠地では各打席でMVPコールを浴びた。シーズン終盤、マウンドで腕を振る投手大谷に向けても、ファンからMVPを期待する大歓声が上がった。
強力な援護射撃もあった。エンゼルスのマドン監督は、大谷が45号本塁打を放った9月21日のアストロズ戦後、MVP獲得レースについて言及し、「(大谷以外の候補選手は)みんな2位、3位、4位だね」と目を細めた。さらに9月29日のレンジャーズ戦。9回に放った打球速度109 マイル (約175キロ)の安打は二塁手のグラブをはじき、右前へ抜けた。同監督は「MVPだと思わせる打球。相手のグラブを壊すような打球を放てば、それはMVPだ」と表現。球界屈指の知将にとっても、打者大谷のプレーは驚異的だった。