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「たかが野球だ」ヤクルト高津監督がシカゴのブルペンで見た、合言葉「絶対大丈夫!」の原点 <昨年最下位からリーグ制覇へ>

posted2021/10/25 11:05

 
「たかが野球だ」ヤクルト高津監督がシカゴのブルペンで見た、合言葉「絶対大丈夫!」の原点 <昨年最下位からリーグ制覇へ><Number Web> photograph by Sankei Shimbun

ヤクルト・高津監督の「理想のチーム像」。その源流はMLB時代の“ブルペン”にあった

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Sankei Shimbun

 史上稀に見る大混戦となった今シーズンのプロ野球。セ・リーグは、東京ヤクルトスワローズが24日の巨人戦に勝利して優勝までのマジックナンバーを2に減らし、2015年以来6年ぶりのリーグ制覇に王手を賭けた。 

 残り3試合で阪神とのゲーム差は「0」と気の抜けない状況は続くが、昨季まで2年連続最下位のチームをここまで引き上げたのは、就任2年目の高津臣吾監督(52)の手腕によるところが大きいだろう。山田哲人、村上宗隆、奥川恭伸をはじめとした才能煌めく選手たちが生き生きと力を発揮し、終盤の優勝争いを逞しく戦い抜いた土壌は、指揮官の包容力が作り出したものだ。

今季の“ターニングポイント”

 明るく楽しく、尚且つ強い。そう、強い時のヤクルトってこうなんだよなあ……と、長年のファンならば喜びをかみしめているはず。「恩師」である故・野村克也氏の緻密な野球をベースにしつつ、直近の優勝監督である若松勉氏(01年)、真中満氏(15年)の系譜も継ぐ「選手に伸び伸びと力を発揮させる」チームを作り上げた。

 アフロのかつらで『大都会』を熱唱していた現役時代のイメージ通り明るいキャラクターだが、実はシャイで繊細な一面も持つ。指揮官としていざ勝負の場に立てば大の負けず嫌い。そしてひたすら熱い。

 天王山となった9月7日の阪神3連戦(甲子園)の初戦前のチームミーティングでは、選手を前に「絶対大丈夫。どんなことがあっても僕らは崩れない!」と熱く語りかけてチームを鼓舞。繰り返した「絶対大丈夫!」の言葉は、終盤戦を戦い抜くチームの合言葉になった。

 9月13日の中日戦では、土壇場の9回攻撃時に併殺をめぐる不可解な判定に対して、15分にもわたって猛抗議。中日の選手たちがベンチから引き上げても諦めず、大きな身振り手振りで審判団に熱く語りかける姿を、選手たちがじっと見つめる姿が印象的だった。

「あれが今シーズンのターニングポイント。監督の熱い言葉、必死に戦っている姿を見て、選手たちの意識も変わった。あそこから明らかにチームがいい方向に動き出したのを感じました」

 指揮官を支えた宮出隆自ヘッドコーチはそう証言する。事実、翌14日から13試合負けなし(9勝4分)と驚異的な快進撃を続け、巨人、阪神のライバルを一気に圧した。

【次ページ】 「大丈夫。“たかが野球”だ」

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