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ベイスターズが久々に高校生投手・小園健太を1巡目指名したワケ…進藤達哉編成部長が明かす新ドラフト戦略
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/17 11:02
ベイスターズとしては久々の1巡目指名の高校生投手となった小園。球界のエース候補と期待される逸材だ
気になるのは今後の育成方針だが、能力のずば抜けた投手ゆえ、いわゆる素材型の高卒投手のように数年かけてじっくりとファームで育てていく方法とは異なることが予想できる。
「そこはまだ高校生なので、まずはしっかりと土台作りをしてもらうつもりです。ただ、おっしゃるように完成に近い部分も持ち合わせているので、通常よりも早い段階でチャンスが訪れる可能性は高いでしょうし、先発ローテーションのラインにしっかりと乗ってくれることを期待しています」
前述したようにDeNAが高校生投手を1巡目で指名するのは久々のことだ。これまでは戦力整備の面で即戦力の大学生投手を指名することが多かったが、そういった意味からすればチーム作りが違うフェーズに入ったことが窺われる。
「十分とは言えませんが、時間をかけ戦力を整えてきました。2年前に内野手の森敬斗を1巡目で指名した際に三原一晃代表が話していたと思いますが、ある程度チームが成熟してきている中で、ようやく高校生を上位で指名できる状況になってきたということです」
三浦監督が小園をクジで引き当てた歓喜の瞬間――DeNA10年のドラフト史の中で、興奮冷めやらぬ最もインパクトの強いシーンになったことは間違いない。
2巡目指名は即戦力右腕・徳山壮磨
さてウェーバー制により他球団に先駆け2巡目指名をしたDeNAは、徳山壮磨(早大)の交渉権を獲得する。大阪桐蔭時代にセンバツで優勝投手となり、150キロを超える伸びのある直球と切れのあるスライダーが魅力の実力派だ。他にも評価の高い有力候補が残ってはいたが、徳山を指名した理由を進藤は次のように教えてくれた。
「春先に調子を落としていたのですが、秋のリーグ戦では復調していました。素晴らしいポテンシャルを持っていますし、先発の即戦力として徳山選手が一番近いという評価で指名しました。また早大の小宮山悟監督(元千葉ロッテ)のもとでプロを意識した教育がされていると感じられましたし、メンタル面も含めて期待をしています」
3巡目は粟飯原龍之介(東京学館高)。身長180センチ、長打力も持ち合わす走攻守そろった大型ショートである。
「非常に身体能力が高い選手で、2年前の森敬斗と遜色のない素材だと考えています」
その森は現在一軍に帯同されるなど成長著しいが、なかなか育成が難しいショート候補として粟飯原には期待をしているという。
「レギュラーになるのが大変なポジションでもありますが、粟飯原選手には魅力を感じているので、ぜひ頑張ってもらいたいですね」