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サイレンススズカの「伝説の毎日王冠」の同日に…セイウンスカイが京都大賞典で披露した「もうひとつの歴史的逃走劇」

posted2021/10/09 17:00

 
サイレンススズカの「伝説の毎日王冠」の同日に…セイウンスカイが京都大賞典で披露した「もうひとつの歴史的逃走劇」<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

京都大賞典で一線級の古馬を撃破し、「98年世代」のレベルの高さを証明したセイウンスカイ

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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BUNGEISHUNJU

 先週のスプリンターズステークスをピクシーナイトが制し、今週末の毎日王冠にNHKマイルカップを勝ったシュネルマイスターが出走して上位人気になるなど、今年の3歳勢は、歴戦の古馬を相手に存在感を示している。

 今から23年前のちょうどこの時期、1998年10月11日に行われた京都大賞典でも、1頭の3歳馬が驚くような走りを見せた。

 同年のクラシック戦線で「三強」を形成した、芦毛のセイウンスカイ(牡、父シェリフズスター、美浦・保田一隆厩舎)である。

現在も語り継がれる「98年世代」のクラシック戦線

 セイウンスカイは1995年4月26日、北海道鵡川町の西山牧場で生まれた。オーナーブリーダーとして西山牧場が所有し、97年春に開業したばかりの保田一隆調教師(当時、以下同)が管理した。

 徳吉孝士を背に、デビュー戦となった98年1月5日の新馬戦を6馬身差、中2週で臨んだジュニアカップを5馬身差で圧勝。

 3戦目、重賞初挑戦となった弥生賞で、武豊が乗るスペシャルウィークの2着に敗れると、陣営は鞍上を徳吉から横山典弘にスイッチ。デビュー8年目の26歳から、13年目、30歳への乗り替わりであった。

 次走の皐月賞で、横山のセイウンスカイは、福永祐一のキングヘイローを半馬身差の2着に退け優勝。GI初制覇を遂げた。

 しかし、つづく日本ダービーではスペシャルウィークに5馬身以上離された4着に敗れ、秋に備えた。

 秋は、古馬相手の天皇賞(11月1日、東京・芝2000m)を目指すか、それとも3歳馬同士の菊花賞(11月8日、京都・芝外回り3000m)を狙うべきか。西山牧場の西山茂行氏と保田調教師が協議した結果、菊花賞に向かうことになった。

 そこへのステップとして、菊花賞トライアルの京都新聞杯(10月18日、京都・芝外回り2200m)ではなく、あえて、古馬が相手となる京都大賞典(10月11日、京都・芝外回り2400m)を選んだのだ。

 京都新聞杯は10月18日なので、菊花賞まで中2週と間隔が短い。ゲート難のあるセイウンスカイがゲート再審査を課せられた場合、間に合わなくなってしまうので、1週早い京都大賞典に矛先を向けたのだった。が、皐月賞を勝つなど賞金面で余裕があり、トライアルで出走権を獲る必要がなかったので、ゆとりのあるローテーションを組んだほうがいいという計算もあったはずだ。

 なお、「三強」のほかの2頭、スペシャルウィークは京都新聞杯(1着)、キングヘイローは神戸新聞杯(3着)と京都新聞杯(2着)から菊花賞へと駒を進めることになった。

【次ページ】 皐月賞馬ながらファンの評価は「7頭立ての4番人気」

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