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「僕と彼女とは運命的な出会いでした」“純白のアイドル馬”ソダシの主戦騎手が告白する《白毛GI馬のもう一つの才能》
posted2021/10/07 11:05
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph by
Naoya Sanuki
栗東トレーニングセンター(滋賀県)の最寄り駅に近いホテルの、宴会場があるフロアは閑散としていた。小さめの宴会場には無駄なほど長いテーブルが設置され、その上に置かれたアクリル板の向こうに、スーツにマスク姿の吉田隼人がいくらか緊張した面持ちで座っている。
吉田が関西にきて3年が経とうとしていた。
2018年の秋、ローカル開催で関西馬に乗る機会が多かった吉田は、全体にいい馬が多い関西の調教に興味を持ち、活動拠点を美浦トレセン(茨城県)から栗東に移した。住んでいた家を引き払って栗東に来て、独身寮で若手騎手と一緒に生活した。いまは近くに借りたアパートにひとり住まいだ。
インタビューも終盤にさしかかったとき、吉田は言った。
「ソダシが呼び寄せてくれたのかなと思うぐらい、運命的な出会いでした。栗東に来てなかったら、騎乗依頼もなかったわけだし、こうして取材を受けられるのもソダシのおかげだから」
栗東に来るときに頼ったのは矢作芳人調教師だった。矢作には若いときから世話になっていて、いい馬にもたくさん乗せてもらった。
「矢作先生にはこっちに来る前に相談もしました。『弟子(古川奈穂)をとるから、そんなに協力できないかもしれないけど、調教に乗るなら来いよ』と言ってくださって」
ソダシに初めて乗った感想は…
栗東に来て間もないころ、矢作厩舎の馬に乗ってパドックでまわっているときに須貝尚介に会った。須貝の父(須貝彦三元調教師)の馬でGIに乗せてもらったことがある吉田は、あいさつし、思いきって頼んでみた。
「先生、調教だけでもいいので、乗せていただけませんか」「そうか。それじゃ、こんど調教に乗ってくれや」
こんなやりとりで須貝とのつきあいがはじまる。調教をつけ、レースに乗り、勝ち、気がついたときには須貝厩舎の主戦騎手のひとりになっていた。そして昨年の春、ソダシの調教に乗せてもらった。吉田はソダシの伯母で白毛のユキチャンやマーブルケーキなどに乗ったことがある。