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稲垣啓太も「潜在能力は高い」と認めるワーナー・ディアンズ(19歳・NZ出身)が日本で目指す“世界一のロック”《特技は書道?》
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJRFU
posted2021/10/07 11:00
“若手育成枠”ではあるが、日本代表合宿に招集されたワーナー・ディアンズ。ジェイミー・ジョセフHCも「見てみたい選手の1人」と期待を寄せる19歳だ
ワーナーはニュージーランド(以下、NZ)のウエリントンで生まれ、2歳のころにネイピアに移り、14歳のときに父グラントさんがトップリーグのNECのトレーニングコーチに就任した際に来日。つくばインターナショナル中学2年に編入した。
少年時代はラグビーと並行してバスケットボールもプレーし、ネイピアにあるホークスベイU13代表に選ばれ、NZの全国大会に出場。「5位か6位くらい」に入ったという。ちなみに母タニアさんはネットボールのNZ代表で活躍した元選手だ。
「身長は両親とも185cmくらい。お母さんが特に大きいんだと思います」
メインのスポーツはバスケットボールだった少年時代だが、ラグビーは常に生活の近くにあった。2011年のワールドカップNZ大会では住んでいたネイピアでも2試合が行われ、日本対カナダ戦もスタジアムで父と一緒に生観戦した。
当時のヒーローは、昨季まで神戸製鋼でプレーしていたブロディ・レタリックだった。まだオールブラックスにデビューする前、ホークスベイでプレーしていたレタリックとは、父を介して何度か会う機会があったという。
2019年、W杯のために来日したオールブラックスは千葉県・柏市で事前キャンプを張った。流経大柏高に通っていたワーナーは父グラントさんと一緒にレタリックに面会した。14年に世界最優秀選手、15年W杯優勝も経験したレタリックだったが、ワーナーのことはよく覚えていて「デカくなったなあ」と驚かれた。小学生だったワーナー少年は高校2年生になり、身長は2mに到達していたのだ。
花園で見せたパワフルな突進
高1では花園メンバーには入れなかったが、高2でロックのレギュラーに定着。高校日本代表にも選ばれた(コロナ禍により遠征は中止)。この頃はまだ体の大きさの割におとなしい印象だったが、高3の花園では一変した。
主力の卒業でノーシードになった流経大柏高でFWの大黒柱となったワーナーは、ポジションもNo.8へコンバート。ラインアウトなど空中戦だけでなく、自らボールを持って積極的にボールを前に運んだ。1回戦の高鍋、2回戦の関西学院、3回戦の常翔学園を相手に、すべて勝負所でトライを決めた。常翔学園戦のトライは終了直前、相手ゴール前のPKを自らクイックスタートし、相手タックルを突き抜けたパワフルかつ劇的な逆転トライだった。
「去年よりフィジカルは成長したと思います。まだトップレベルじゃないけれど、相手は必ず低く膝にタックルしてくるので、こっちも低い姿勢を取れるようにトレーニングしてきました」
コロナ禍に見舞われた2020年、ワーナーはNZに帰国せず千葉で過ごした。ステイホームが呼びかけられた間も、自宅のトレーニング環境は最高だった。なにしろNZとトップリーグでS&Cコーチとして活躍してきた父グラントさんが自宅にいるのだ。
「お父さんと一緒にトレーニングしていました(笑)」