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稲垣啓太も「潜在能力は高い」と認めるワーナー・ディアンズ(19歳・NZ出身)が日本で目指す“世界一のロック”《特技は書道?》 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2021/10/07 11:00

稲垣啓太も「潜在能力は高い」と認めるワーナー・ディアンズ(19歳・NZ出身)が日本で目指す“世界一のロック”《特技は書道?》<Number Web> photograph by JRFU

“若手育成枠”ではあるが、日本代表合宿に招集されたワーナー・ディアンズ。ジェイミー・ジョセフHCも「見てみたい選手の1人」と期待を寄せる19歳だ

 そうして身につけた下半身の強さで活躍した花園で、ワーナーは将来の目標を聞かれ、答えた。

「日本代表になりたい。なれるように頑張っていきたい」

 NZに帰ってオールブラックスを目指す選択肢もあった。だがそこは、冷静に考えた。9月のオンラインインタビューでワーナーは明かした。

「もうNZでは長い間、ラグビーをしていない。19歳でNZに帰って、そこからプロになるのは厳しいと思ったし、コロナのこともあって、移動すれば隔離もある。それに何より、自分は日本のラグビーに育ててもらったという思いがありますから。自分も日本代表でプレーして、次のレベルに行きたい。目標は世界一のロックになること」

 ワーナーの選択は、NZへ帰ることでも、日本で大学に進むことでもなく、すぐにシニアの舞台に飛び込むことだった。

「自分が成長するために一番いい環境はどこか、と考えて選びました」

 選んだ進路は東芝ブレイブルーパス。決め手はリーチマイケルの存在だった。

「一緒にやりたいと思いました」

 高2の花園が終わったあと「父さんが紹介してくれて」リーチと会う機会があった。高1の時にNZから来日し、日本で成長して世界ラグビーのスターになったリーチに、ワーナーは憧れと共感を抱き、自分の未来をそこに見た。

「一緒にやりたいと思いました」

 21年3月、流経大柏高を卒業したワーナーは、トップリーグ最後のシーズンを戦う東芝に合流した。前述の通り、まず自分に課したテーマは「世界で戦える体作り」だった。地道なトレーニングで体を鍛え、自分のベースとなるセットプレーの基本スキルを磨く毎日を送った。トップリーグのシーズンが終わってからも個人練習を続けた。日本代表の活動が終わったリーチも合流した。リーチはラインアウトなどの細かいスキルを教えてくれた。そんな考え方もあるのか……と学ぶことが多い毎日。ワーナーは、シニアレベルに飛び込んだ自分の選択が正しかったと実感した。

 そんな地道なトレーニングを重ねること半年、ワーナーは「NDS」という立場で初めて日本代表候補合宿に招集された。

 合宿招集にあたっては、日本代表のジェイミー・ジョセフHCと直接、Zoomで話す機会があったという。

「2023年のW杯に向けて、経験をつむために合宿に参加させたい、と言われました」

 ジェイミー本人にも聞いてみよう。宮崎合宿にスタッフが合流、本格的に始動した初日に行われたオンライン会見で、ワーナーの評価を尋ねた。

「彼は見てみたい選手の1人です。初日の練習のパフォーマンスを見て感心しました。フィットネステストの結果も、2m、124kgというサイズにしては上出来だったし、日本語も完璧に話す。フィジカルの部分を高めることができれば可能性はある。23年W杯までに彼の成長が間に合うかどうかは分からないけれど、今回ヴィンピー(・ファンデルヴァルト)がケガでチームを離れてしまったので、チャンスが生まれるかもしれない。私もちょっとエキサイトしています」

【次ページ】 稲垣啓太「一緒にスクラムも組みました」

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