Number ExBACK NUMBER
《シーズン2カ月半で2000万円プレーヤーも》非常勤講師を退職→本場インドに挑む23歳日本人が語る「カバディの知られざる世界」
posted2021/10/06 17:00
text by
平野貴也Takaya Hirano
photograph by
Takaya Hirano
カバディ日本代表候補の阿部哲朗(23歳)が、インドのプロカバディリーグ(以下PKL)シーズン8に参戦する。
同リーグへの日本人選手の挑戦は5人目。12月の開幕に向け、10月から当地でテルグ・タイタンズのチーム練習に参加予定だ。20年夏からコロナ禍で延期になっていたリーグの開始にあたり、日本カバディ協会に選手推薦の打診があり、次世代の中心選手として期待を受ける阿部に白羽の矢が立った。
阿部は、今春に大東文化大学を卒業したばかり。母校である自由の森学園中学・高校で非常勤講師をしていたが、退職してインドに乗り込む。
在学中は自信がなくPKLへの推薦を断ったが「やっぱり本場のインドで学びたい。だから、大学を卒業したら、プロリーグとは関係なくインドに行くと決めていました。それが、コロナ禍になって、どうするかと思っていました。すごく迷いましたけど、チャンスだと思って行くことに決めました」と挑戦の決意を固めた。
中国スマホ会社が約45億円でリーグと5年スポンサー契約
カバディは、五輪には採用されていないマイナー競技だ。しかし、発祥国のインドではクリケットに次ぐ人気競技である。
2014年に発足したPKLは当初短期間のイベントに過ぎなかったが、インド最大のテレビメディアである『スターインディア』がメイン放送局となって国内で人気を博すと、17年のシーズン5から中国のスマートフォンメーカーである『Vivo』が、5年間30億ルピー(約44億8000万円)でメインスポンサー契約を結んだ。
PKLの公式サイトによると、昨季は累積で3億2800万の視聴数を記録するなど、急速に規模を拡大して注目を浴びている。
シーズン2、4に参加した日本代表の高野一裕(36歳)が、「会場は熱気がすごいし、エンターテインメントとして作り上げられた世界の中でカバディができる唯一の舞台で、華やかさがあります」と話す、競技者にとっての夢舞台だ。