例えば準決勝第2局に臨んだ伊藤四段の対局を見て「7二銀で詰みますよ！」と勝ち筋に気づいて大はしゃぎしたかと思えば、フィッシャールール独特の超早指しゆえに逆転負けを喫するとガックリ……本当に将棋が好きなんだな、とホッコリするとともに感服するばかりです。

　藤田晋社長も「アベマの番組で一番面白い」との話だったので、女流トーナメントともども、継続していただくことを心から願っています！

「すごい藤井三冠」と「キュートな藤井くん」

（3）10月も藤井聡太三冠の対局、豊島将之竜王の意地に注目

©Junsei Chida

　ABEMAトーナメントで個人、団体として“4連覇”を達成した藤井三冠ですが、フルセットの叡王戦も制して「史上最年少三冠」を達成したのは周知のとおりです。

　第5局の最終盤に見せた「9七桂」の一手にはただただ衝撃でしたが……その1時間後の会見で「ペコちゃん人形」を抱えての笑顔、叡王戦をスポンサードしている不二家さんが出している「コロコロしばちゃん」の“おやつの一手”にも驚かされるばかりです。

藤井三冠が頼んだ「コロコロしばちゃん」　©日本将棋連盟

　あれだけ強く礼儀正しく、それと同時にちょっとしたユーモアやキュートさもあるのだから、引き付けられるわけで……。

叡王戦第5局　©日本将棋連盟

「スゴい藤井三冠」と「カワイイ藤井くん」の絶妙なバランスはもしかしたら、メジャーで大活躍する大谷翔平選手と共通するものなのかも……とも思います。

　9月の対局を振り返ると、7勝1敗（棋王戦で土をつけた斎藤慎太郎八段もさすがです）。順位戦B級1組の横山泰明七段との対局が終わったのは日付を越えて……10月になってましたね。よくぞまあこれだけの戦いを続けていけるなと思うと同時に、みたび豊島竜王との戦いが始まります。

　もちろん、豊島竜王にも注目です。叡王戦第4局では藤井三冠相手に完勝するなど、トップオブトップなのだな……とその棋力に凄みを感じるばかり。

叡王戦第4局の終局後　©日本将棋連盟

　記事で読みましたが、豊島竜王は同じ愛知県出身ということもあり、小学校時代の藤井三冠と手合わせしたというエピソードもあるそうです。それだけに今回の対局では期するものは大きいでしょう。

　藤井三冠と同じく（年齢を踏まえると、もしかしたらそれ以上に？）ベイビーフェースながら勝負師のたたずまいをビシビシと感じさせる豊島竜王。意地の防衛か四冠か……10月8日から始まる第1局も楽しみで仕方ありませんね！（構成／茂野聡士）

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。