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ダウン症の女子大生ゴルファーが憧れの選手と夢のラウンド…「やればできる」ポジティブな姿勢が生んだ“優しさの連鎖”とは?
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byBockerstette family
posted2021/10/01 17:01
奨学金を得て大学でプレーを続けるエイミー・ボッカーステッド。家族や周囲のサポートに感謝しながら大好きなゴルフを楽しんでいる
ジョーは自分の娘の知名度が高くなっていることを理解している。
「私と妻は平凡な夫婦なんです。私はエンジニアだし、アスリート一家じゃないですよ。たまたま、うちの子がダウン症で、ゴルフの才能があったということです。私はただ娘の幸せを願ってサポートしていただけ。その結果、ファンレターやメッセージが届いたりと、娘は人から見られる存在になってきました。その道のりを一緒に歩めたことは嬉しいです。娘が一つ一つ乗り越えることによって壁を崩していくというか、ダウン症の子どもたちに可能性が広がっていったら良いなと思います」
知名度とともにエイミーのゴルフの腕前はメキメキ上達中だ。昨年は自己ベストとなる「92」をマーク。今年5月には、ダウン症のゴルファーとしては初めてNJCAA(全米短期大学体育協会)の選手権に出場を果たした。来年には大学卒業を迎えるが、ゴルフを続けながら「テレビ関係の仕事につきたい」という目標を教えてくれた。
さらにエイミーの姉が中心となって設立した非営利団体『I GOT THIS Foundation』のアンバサダーも務めている。「私ならできる」という言葉を冠とする団体は、ダウン症やその他の知的発達障害を持つ人々にゴルフをする機会をサポートすることを目的として活動している。エイミーは知的発達障害のある人たちのことを世間に正しく理解してもらえるような啓蒙する役割も担っていくつもりだ。
エイミーの努力する姿は、“優しさの連鎖”を生み、親や学校、コーチだけでなく多くの人たちの心を動かした。エイミー・ボッカーステットの大いなる可能性をこれからもしっかりと見届けていきたい。