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「石川祐希、やっぱりすごいわ」満身創痍のアジア選手権で見せた圧倒的な存在感…でも「まだまだ実力不足」と自己評価が厳しい理由
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2021/09/23 11:03
東京五輪に続き、アジア選手権でもキャプテンとして存在感を発揮した石川祐希
アジア選手権の閉幕から3日が過ぎた9月22日。イタリアでのクラブシーズンに向け、渡欧を控える石川がオンラインでの記者会見に臨んだ。
昨季と同じパワー・バレー・ミラノでプレーする石川は、今季のテーマを「勝つこと」と掲げ、プレーオフでの準決勝進出が目標と公言した。
同じミラノには東京五輪で金メダルを獲得したフランス代表選手も2名在籍し、個々の経験値も高い。十分な戦力ではあるが、イタリア・セリエA全体に目を向ければ、トップ4とされるルーベ、トレンティーノ、モデナ、ペルージャといった上位クラブにはブラジル代表のルカレッリやブルーノ、イタリア代表のミケレットやジャネッリ、ポーランド代表のレオンなど東京五輪でも活躍した世界のトップ選手たちがずらりと顔を揃える。
近年になく戦力が揃ったイタリアでトップ選手たち、トップチームに勝つ。それこそが、石川が目指す“世界”だと言わんばかりに、言葉に力と熱がこもる。
「ネーションズリーグ、オリンピック、アジア選手権を戦う中で、『キャプテンのようなチームになっていく』と感じました。キャプテン、チームの中心である選手がどれだけ情熱を持って表現できるかがチームのカラーになる。今まで以上に責任感がありましたし、スキルやパフォーマンスは高いレベルで発揮できているようになってきた。
だからこそ(イタリアでの)今シーズン、勝つことで僕の評価も上がるし、自信になります。世界で勝つためには、トップのチーム、選手を倒さなければならないので、これまで以上に勝つことをテーマとして戦っていきたいです」
セリエAの開幕は10月10日。代表シーズンを終え、プロとしてイタリアで3シーズン目を迎える石川は、ミラノのサポーターの前でどんな姿を見せるだろう。
東京五輪のイラン戦、ファイナルセットの出だしに見せたサービスエースのように、サーブで度肝を抜くのか。はたまた満身創痍のアジア選手権でも見せたように、最後まで諦めずにボールを追い、再び攻撃態勢へ入りスパイクを叩きつける姿で会場を沸かせるのか。
いずれにせよ、日本のみならず、世界をうならせてほしい。
石川祐希、やっぱりすごいわ、と。
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