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なでしこ五輪惨敗→逆風のWEリーグ開幕 「第3節までは注目してもらえると思いますが…」新規ファン獲得へ必要なものとは
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/09/17 06:00
WEリーグ開幕節のベレーザvs浦和。2000人超の観客を集めた中で、この注目度を継続できるか
「戦術的なインパクトでは、2019年の女子ワールドカップ・フランス大会のスペインやイングランドが大きな進歩を示し、今回の東京五輪はそれほど画期的なものはなかった印象です。まだまだ日本が付け入る隙はあり、トップランクに潜り込んでいける可能性はある。
今後、自国のリーグで強力な外国籍選手と対戦するのが日常になれば、特有の速さ、強さを代表でなくとも体感できます。そうして局面の打開やカウンターを防ぐ方法を身につけられるのは貴重なメリット。同時に、ベレーザのサッカーを追求することで成し遂げられることも大きくなっていくと思います」
リーグ側は外国籍女子選手受け入れ支援制度を設け、資金面でバックアップする用意をしている。あいにくコロナ禍の現在は容易ならざる状況だが、海外との往来が通常の状態に戻り、異質な能力を持つ海外のタレントを獲得できればリーグのレベルアップにつながるのは間違いない。
かつてのJリーグがそうだったように、直接的、間接的に新たな能力が開発されるだろう。むろん、ファンの関心を引き、新規の客にアプローチできる意味でも大きい。
岩清水梓が語るWEリーグとベレーザの未来
一方、初代女王を目指すベレーザは、チームづくりの新たなサイクルに入ったばかり。2015年から史上初のリーグ5連覇を成し遂げたが、なでしこリーグ最後のシーズンは3位に終わった。中軸を担った長谷川唯、籾木結花といった看板選手が海外に移籍し、WEリーグに向けて強化に動く他チームによって戦力が分散した。
ベレーザひと筋19年目、いまや一児の母である岩清水梓はWEリーグとベレーザの未来をこう展望する。
「コロナについてはイレギュラーな出来事ですので難しいですが、この機会、女子サッカーに興味を持ってくれた人たちに、リピーターになってもらえるようなプレーを見せていきたい。プロですから当然結果が求められます。そのうえでベレーザのサッカーを続けていくのが大事だと思いますね。自分は積み上げていくための手助けをしたいです。チームのレベルが非常に高く、試合に出るのは簡単ではありませんが、私もピッチに立てるようにコツコツがんばります」
浦和との開幕戦、岩清水はメンバー外でスタンドからチームの戦いを見守った。
日本の女子サッカーの草創期から牽引し、困難な状況にあっても進化を遂げてきたベレーザは何度でも生まれ変わる。チャレンジャーとして臨む、WEリーグ初年度の戦いは来年5月まで続く。