「自分の身は自分で守れるようにならなきゃいけない」

「高専時代、コンビニでバイトしていてお客さんにストーカーされたんです。暴言を吐かれたり脅迫まがいの電話が来たりして警察沙汰になりました。そういうことがあって、自分の身は自分で守れるようにならなきゃいけない、強くなりたいって思うようになりました。

　強さというのは肉体的にも精神的にも、ですね。生き物として強くなりたいです。動物は自分の体を大きく見せて威嚇したり、種の保存のために見た目が鮮やかになったりもしますよね。“魅力的に見える”というのも強さなんだなと。そういうことも含めて、あらゆる面で強くなりたいです」

　そう考えると“見せる”要素も強いプロレスに向いているのかもしれない。プロレスの練習をしてみた感想はと聞くと「まず、とにかく痛いです（笑）」。これまでの自分にはない感覚も抱くことになった。

「練習してると泣いちゃうんですよ。技がうまくできなくて悔しかったり、先輩相手なのにムカついたりして。感情があふれてきて涙が出てしまう。ずっと“感情がない”って言われてきたので、自分にこういう気持ちがあるというのが意外でした」

　練習や試合で悔し泣きする選手に共通するのは、負けん気の強さだ。ファイターにとっては必須の要素と言ってもいい。持ち前のパワーに加えて、精神的にもプロレスラー向きなのかもしれない。「本人はよく泣いてしまうから気持ちが強くないって言いますけど、気持ちが強いから泣いてしまうんだと思います」と三富。

フィジカル能力の高い“期待のルーキー”

　デビュー戦では「パワーと気持ちだけでは負けないようにしたい」。8月27日、P.P.P.の派生イベントである『Stand uP』では三富とのスパーリングを客前で披露した。

「お客さんの前だと、余計に感情が出ますね」

　練習は基本的に男子選手と行なってきた。つまり必要なパワーの基準が男子レベルになっている。試合で女子選手と向き合った時、想定以上の力が発揮される可能性もあるだろう。

「イロモノに見られるけどそうじゃない。話題性より試合で勝負できる選手になりたいです。というか、なります」

　もちろんまだデビュー前、未知数としか言えないが、彼女がフィジカル能力の高い“期待のルーキー”なのは間違いない。

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