トラブル発生も、鈴木は「思いっきり声出していいぞ！」

　鈴木の試合ではファイト以外での名場面もあった。入場時、音響トラブルで曲が途切れてしまう。だが鈴木の入場曲『風になれ』はプロレスファンなら誰もが知っている。観客は自然に歌い出し、そしてクライマックスで「風になれ！」の大合唱。“声出しOK”だからこれができた。退場時には鈴木が観客たちに「思いっきり声出していいぞ！」と地声で呼びかける。

観客を盛り上げながらも、試合では川村を圧倒した鈴木

　最後まで鈴木みのるは千両役者だった。しかしこれで終わらない。メイン後に始まったのは川村の引退式。鈴木戦は、なぜか「川村亮、負けたら即引退試合」と銘打たれていたのだった。パンクラス参戦を控えているのに。

　長渕剛っぽい誰かが『とんぼ』を熱唱し、テンカウントゴング。かと思いきや川村の妻こと愛称エイドリアンが乱入して引退を阻止する。かくして川村は「ロッキー川村2」として新たな一歩を踏み出したのだった。川村がスタンド上段に登り「エイドリアーン！」と叫んで大会、いや“奇祭”は終わった。なんだそれは。

　鈴木みのると激闘を展開した直後にこれをやるのか。もしかすると鈴木みのるの存在感に飲み込まれて終わりにしないためにも“ロッキー”を必要としたのか。佐藤光留のみならず川村も、これを見て喜んでいる観客も全員変態なのであった。この祭り、どうやら来年もやるらしい。

鈴木に敗北後、長渕剛（？）が『とんぼ』を歌い、「即引退」しかけた川村

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。