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佐藤光留プロデュース『真夏の変態祭り』で諏訪魔に大仁田、鈴木みのるも大暴れ! 灼熱の旧川崎球場で“1日6試合”の佐藤が感じたのは…?
 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2021/09/05 17:00

佐藤光留プロデュース『真夏の変態祭り』で諏訪魔に大仁田、鈴木みのるも大暴れ! 灼熱の旧川崎球場で“1日6試合”の佐藤が感じたのは…?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

8月22日に富士通スタジアム川崎で開催された佐藤光留の自主興行『真夏の変態祭り』。“世界一性格の悪い男”鈴木みのるも参戦した。

 セミファイナルは電流爆破デスマッチ。前夜のDDTにも登場した大仁田厚がヨシタツ、佐野直と組む。対戦したのは関根シュレック秀樹&和田拓也&田馬場貴裕。関根たちはハードヒットでも活躍する格闘家兼プロレスラーだ。大仁田との顔合わせは異色中の異色。パンクラスのチャンピオンだった和田が大仁田に“電流爆破バット”を炸裂させる。佐藤光留プロデュース大会ならではの光景だ。3発目の爆破バットで田馬場を仕留めた大仁田には、バックステージで佐藤が対戦要求している。

川村亮は佐藤とともに指導を受けた鈴木と対戦

 そしてメイン。鈴木みのるvs.川村亮である。佐藤も川村もパンクラスで鈴木の指導を受けた。パンクラスは総合格闘技に分類される試合を行なっているが、佐藤と川村は鈴木に「プロレスラーとして」育てられている。佐藤がそうだったように、川村もパンクラス(総合格闘技)からプロレスの世界へ。シルベスター・スタローン好きが高じすぎて「ロッキー川村」、「ランボー川村」とリングネームを変え、あげく「川村浩探検隊」になり、結局また本名に戻した。

 リングネームの変遷は、川村の苦闘を表しているように思える。パンクラスではライトヘビー級、ミドル級と2階級制覇。大型ストライカーとして強豪外国人とも渡り合ってきた。その強さが、プロレス界では発揮しきれていなかった。 

 9月に久々のパンクラス参戦も控えた状況での鈴木戦は、川村にとって節目になり得る試合だった。だがもちろん“世界一性格の悪い男”鈴木は川村のためなどという素振りは見せない。序盤は関節技、続いて場外で川村を徹底的に痛めつける。ゴールポストの前で五郎丸歩ばりのルーティンから川村を蹴り飛ばす場面もあったが、それも含めて鈴木のやりたい放題だ。

 たとえ“祭り”の場でも、鈴木みのるは鈴木みのるだった。

「いつもとまったく変わらなかったし、お客さんが見たままですよ、鈴木みのるという選手は」

 川村は試合をそう振り返った。そういう鈴木だからこそ、やはり勝ちたい。「この野郎!」という気持ちも湧いてくる。最後はイスの上へのゴッチ式パイルドライバーで敗れたが、川村が試合後半で見せた打撃の迫力には「さすが」と思わせるものがあった。パンクラス2階級制覇は軽くない。試合を終えて、川村は鈴木に対して「いつか勝たなくてはいけない相手」という思いを強くしたそうだ。

 シビアな闘いという軸があってこそ“祭り”は熱を帯びた。諏訪魔から大仁田厚、鈴木みのるという大物が顔を揃えて、なおかつ“顔見せ”では終わらなかった。

【次ページ】 トラブル発生も、鈴木は「思いっきり声出していいぞ!」

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