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巨人から戦力外通告→右肩痛を克服し、期限ギリギリでDeNA支配下登録…復活の宮國椋丞、三浦監督が先発起用を明言したワケ 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2021/09/01 17:02

巨人から戦力外通告→右肩痛を克服し、期限ギリギリでDeNA支配下登録…復活の宮國椋丞、三浦監督が先発起用を明言したワケ<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

DeNAではこれまで育成の背番号「106」を背負っていたが、今後は「65」で本格的な復活に挑む

 そして3月上旬、宮國の状態が上がってきたことを聞きつけたDeNAがテストに招くことになった。このテストで宮國は打者を相手にすることはなかったが「いつもどおり投げられました」と少なからず手応えを感じていた。結果、懸念されていたメディカルチェックもクリアし、晴れて育成契約に至っている。入団時の会見では古巣を意識し「打倒ジャイアンツという気持ちでやっていきたい」とコメントしている。

 だが支配下登録に向け、埋めなければいけない部分はたくさんあった。とくに重要なのが実戦経験だった。前年の10月5日の阪神戦以来、宮國はゲームから離れており、感覚は衰えていた。

 ファームでは中継ぎなども経験しながら先発として球数を増やしていき、スタミナをつけていく作業に集中した。右肩の状態もあるので、細心の注意を払いながらの作業となった。

チームが宮國をギリギリまで待った理由

 一方チームは今永の復帰やロメロの来日によって先発の駒が揃うかと思われたが、先発陣全体が勝ちゲームに導くことができず、かつ頼みの綱であった平良がトミー・ジョン手術を受けるなど、厳しい状況がつづいていた。そして6月14日、先発投手の欲しいDeNAと、中継ぎ強化を図りたいロッテとの思惑が一致し、国吉佑樹と有吉優樹のトレードが発表された。この状況から、宮國に関しては8月31日の支配下登録期限まで見極めるのではないかといった球団の意図が見て取れた。

 そして期限も迫ってきた8月1日、宮國は一軍に帯同されエキシビションマッチの楽天戦に先発登板した。アピールをする絶好の機会であったが、宮國は5イニングを投げ6失点と結果を出すことができなかった。また3つの盗塁も許しており厳しい現実に万事休すと思われたが、三浦大輔監督は「いいボールと悪いボールがはっきりしたけど、通用するところも見せてもらった。失点したけど、どうしようもないという感じではなかった。緊張もあったと思うし、もう少し見てみたい」と語っており、決して力任せではない両サイドを使ったピッチングを評価した。

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