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日本製車いすは“世界最強”イギリス選手団が「持ち帰る」ほど高性能…車いすバスケ日本代表メカニックが明かす「製造のウラ側」
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byAFLO
posted2021/08/25 11:00
松永製作所が製作する車いすバスケットボールの車いす「B-MAX」360,000円
「瞬発力のある車いすメーカーを見つけて、構造的になにが違うのか研究したんです」
研究の結果、上野さんはパイプを従来の楕円型から丸型に戻す。楕円型パイプでは、力のかかる方向で反応に強弱が出るからだ。フレームの強度を高めて瞬発力が向上、同時にしなやかさも維持した新型機が出来上がる。
'17年、代表合宿に投入された試作機に、選手たちは目を見張った。爆発的な動き出しを見せたからだ。そして同年、日本で開催された大会にイギリスが参戦。ふたりの選手がB-MAXに興味を示し、帰国時に持ち帰ると翌年、イギリス代表から4年契約のオファーが届いたのだった。
「しなやかさと瞬発力を融合した我々の製品に、瞬発力重視の硬いフレームしか知らないイギリスの選手たちは驚いたんだと思います」
慣れ親しんだ車いすを変えるのは一種の賭け。イギリスの決断は車いすバスケ界をざわつかせた。楕円型パイプという伝統をやめる勇気。完璧な競技用車いすを目指す松永製作所の、一切の妥協をしないモノづくりの姿勢が世界王者の心をつかんだのだ。