濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「凶器は模範六法」「伊製高級スーツでリングイン」異色の“東大卒”弁護士・川邉賢一郎がプロレスラーになるまで
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/08/18 11:00
弁護士レスラーとして活動する剛馬。東大卒の彼がリングに上がり続ける理由とは?
司法試験のために欠場したレスラーが史上初なら、ファンに司法試験に落ちたことを報告したレスラーも初だろう。さらに初なのは、司法試験に合格して“弁護士レスラー”としてスーツ姿で試合をするようになったことだ。手には模範六法。分厚く重たい“凶器”で対戦相手の頭をぶん殴る。見た目はもの凄く真面目で、やることは猛烈にふざけていた。他の誰にも真似できない、自分だけのレスラー像を確立したわけだ。相変わらずリングネームは「竜剛馬」で人のパロディだったけれども。
DDTの顧問弁護士を務めながら、伊製高級スーツを着てリングへ
2014年、司法修習の同期と弁護士法人Nextを設立。現在もDDT(株式会社CyberFight)の顧問弁護士を務めている。2016年には、木高イサミ率いるプロレスリングBASARA旗揚げに参加した。BASARAがDDT傘下から独立しても、竜剛馬は引き続きリングに。本業が忙しくても、リングからは離れたくなかった。
「ユニオンが解散することになった時点で、廃業するつもりだったんです。妻にもそう伝えてました。でもイサミさんからBASARAに誘われたら二つ返事でしたね。廃業しても、学生プロレスの試合にOBとして出ることはできたと思います。でも僕をプロとしてリングに上がらせてくれるのはBASARAだけですから」
BASARA旗揚げ戦では、スーツを新調した。「輸入ものにしたんですけど船便が間に合わなくて、急いでコムサで一番いいのを買いました」。いまリングで着ているのはイタリア製。それが“弁護士レスラー”としての気合いの表現なのだった。
(【後編を読む】ハッキリ言って“弱い”けど…東大卒・弁護士レスラー剛馬(39)が語る〈敗北の極意〉「プロレスと裁判に共通するのは…」へ)
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