濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「もっともっと“黒い虎”に」…“闇堕ち”で大変身、スターライト・キッドが狙う“因縁のベルト”と“岩谷麻優超え”の意味とは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2021/08/12 11:00
“闇堕ち”したスターライト・キッド。5★STAR GP最終戦では、岩谷との因縁の対決が待っている。
“奪還マッチ”で「麻優さんが勝ったからこそ…」
そして9月25日のリーグ最終公式戦ではSTARSを率いる岩谷麻優との直接対決が待っている。お互いにとって、決勝戦に進出できるかどうかをかけた大事な闘いになる可能性が高い。
「最高ですよ。やってくれますよね、会社も」
キッドはやはり笑うのだった。スターダムの中で、彼女が誰よりも意識するのは岩谷だ。7月17日の高田馬場大会では、大江戸隊入りしたキッドを取り戻すべく、岩谷が大江戸隊との1vs5“奪還マッチ”を敢行した。ここで岩谷はシングル5試合、5人抜きで勝利。しかしキッドは大江戸隊残留を選ぶ。
「いつか麻優さんを超える」
それが以前からのキッドの目標だった。今までは隣にいて超えたいと思っていたが、5人抜きすら達成する岩谷麻優の強さを見て「対角で向き合って超えたい」という気持ちのほうが上回った。
「もちろん(気持ちが)揺れましたよ。私を取り戻すために5人と闘うなんて言われたら揺れますよ。でも、実際に5人抜きした瞬間“こんな強い人、闘って超えたいに決まってるじゃん”って。麻優さんが勝ったからこそ意志が固まりました。今、せっかく対角に立つチャンスがあるんだから、それを活かさない手はないですよ。
麻優さんのことは大好きだし、STARSは私を成長させてくれた場所。だから麻優さんを超えるのは恩返しでもあると思ってます。対等になれたと思ったら、また隣に立つこともあるかもしれない。それはその時になってみないと分かりませんけどね」
スターダムを背負っていく“覚悟”
岩谷とリングで対峙する時のキッドは、ハイスピードのベルトを巻いているかもしれない。少なくともリーグ戦を経て今以上に“黒く”なり、その分だけ力を増しているだろう。
ベルトもハイスピードだけで終わりにするつもりはないと言う。ワンダー王座も諦めていないし、その先も。
「(頂点のシングル王座である)ワールド・オブ・スターダムは最後に……かな。いずれ欲しくなると思います、今の私の欲深さからすると(笑)」
岩谷戦は「超えたいと言っている自分の気持ちがどれほどなのか、お客さんはそこを見ていると思う」。だからこそ、ここで勝って覚悟を見せつけたい。
「岩谷麻優を超えたいっていうのは、スターダムのアイコンと呼ばれる岩谷麻優を超えたいという意味です。つまりスターダムを背負っていく覚悟があるということです」