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スターダムのアイコン岩谷麻優が5★STAR GPで完全復活か? 二段式ドラゴン・スープレックス解禁でも“センチメンタル”なワケ
posted2021/08/11 06:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
岩谷麻優の「シングル脳」は覚醒した。
8月1日のスターダム「5★STAR GP」公式戦、岩谷はジュリアを抱えると手を組み替えてドラゴン・スープレックスを放った。ファンが待ちわびていた二段式ドラゴン・スープレックスの解禁だった。
「ボロボロ、ズタズタにしてくれてありがとう」
前日、岩谷は渡辺桃に新型のパイルドライバーを浴びてピン・フォール負けした。お株を奪われるような渡辺のドラゴン・スープレックスを食らい、技の名もついていない新技で脳天からマットに落とされての敗戦スタートだった。
公式戦2戦目となったジュリアとの試合は岩谷にとって早くも正念場。ジュリアと音が聞こえてくる頭突き合戦を繰り広げ、気迫を見せた。ムーンサルト・プレスもドラゴン・スープレックスも返されると、とどめは二段式のドラゴン・スープレックスしかなかった。18分30秒という試合時間にスロー・スターターの岩谷は触れた。
「15分だったら本当に全試合がドローになってしまう可能性があった。20分1本勝負でよかった。自分は長期戦の方が得意なので。追い詰められて、追い詰められて、そこから立ち上がるのが岩谷麻優なので、ボロボロにやられましたけれど、ボロボロ、ズタズタにしてくれてありがとう。
大丈夫。ケガはしていない。もちろん、首のダメージとかはあるけれど、今年の岩谷麻優はいつもと違う。また、必ず優勝して、あいつ(林下詩美)の持つベルトに挑戦します。そして、また、岩谷麻優の時代を自分の手で切り開きたいと思います」
岩谷はそう復活の意思を示した。
試合後、薄暗い階段の下で崩れ落ちていた
「ああ、きつい」
そう言うと、岩谷は床に倒れ込んだ。目はウツロで、這うように控室に戻って行った。