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「GI10勝」「ドバイの師から特別装蹄」ホッコータルマエが遺した“ダート王伝説” レパードSで父子制覇なるか?
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/08/07 17:00
2016年ドバイワールドカップ挑戦時のホッコータルマエ。8月8日には産駒ホッコーハナミチがレパードSに出走する
更に前年、帰国が延期された際に広がった人の輪を最大限に活かした。予定外の長期滞在中に交流を深めた現地の装蹄師に「タルマエに合うオリジナルの蹄鉄を作ってもらい」(西浦調教師)、2年連続となるドバイに挑んだ。
前年同様、幸騎手を背にしたホッコータルマエ。今度は逃げる競馬をした。
「前を走るカメラを載せた車にモノ見をしたし、内馬場に設置されたスピーカーの実況音にも驚いていた」と幸騎手。それでも4コーナーを先頭で回った。
同騎手は「一瞬、夢を見ました」と振り返った。しかし、最後は残念ながら力尽きた。
“3年連続のドバイ遠征”は簡単な芸当ではない
「元から左回りだとモタれるクセがあるけど、今回はとくに酷かったです。それでも前へ行く形で5着ですからね。よく頑張ってくれたと思います」
幸騎手はそう続けた。
翌16年は9着に敗れたが、3年も連続でドバイへ渡ったこと自体、そう簡単に出来る芸当ではない。今年2月に定年により厩舎をたたんだ西浦元調教師にとってはもちろん、3度のドバイ遠征を含め、ホッコータルマエのほとんどのレースで手綱を取った幸騎手にとっても、思い入れの深い馬になったのは間違いない。同騎手は言う。
「そうですね。ホッコータルマエには色々な経験をさせていただきました。あれだけ長い間、一戦級として走り続けた事に関しては感謝しかありません」