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板倉滉は“3番手”に満足していない…決勝進出へ向けた運命のスペイン戦「今まで通りチームのために」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2021/08/03 11:02
ニュージーランド戦、志願したプロ人生初のPKを決めて雄叫びをあげる板倉滉
大会が始まる前、板倉の立ち位置は決して1番手ではなかった。CBは吉田麻也と冨安健洋、ボランチは遠藤航と田中碧が不動のレギュラーの座に君臨。どちらのポジションにおいても、板倉は3番手の存在に甘んじていた。
ただ、本大会初戦の前日に予期せぬアクシデントが襲った。冨安が練習中に負傷し、グループリーグの出場に暗雲が立ち込めたのだ。最終ラインの主軸となる選手の負傷により、チームに緊張が走ってもおかしくない。
それでも、変に気負うことなくチームを落ち着かせることができたのは板倉の存在が大きい。
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急遽、出番が回ってきた南アフリカ戦は、難しい精神状況の中でも安定感のあるプレーを披露。冨安不在を感じさせないパフォーマンスで無失点勝利に貢献した。
板倉がもし3番手の状況に満足していたら、こうはならなかったはずだ。トレーニングからアピールして出場機会を手に入れる。いつでも出られる準備を進めてきたからこそ、ピッチに立っても慌てることはなかった。
「常に日頃からスタメンを狙ってやっていますし、こういうチャンスが来た時にしっかり自分のプレーができるように意識して普段から練習に取り組んでいた。いつどのタイミングで出番が来ても自分のプレーを出さないといけないし、まずはしっかり勝点3を取ることを最低限やらないといけないと思っていたので、それが達成できたことはよかった」
オランダでの成長をピッチで証明
南アフリカ戦に続き、メキシコ戦でもCBで先発出場。技術の高さを生かしたビルドアップで後方のパス回しをスムースにすれば、オランダで培ってきた“強さ”を前面に出してデュエルの面でも強さを発揮した。日本人とは異なる長いリーチを計算し、相手より一歩先に動くことで自由を与えない守備は、オランダで学んできたことがピッチで表現されていた場面だった。
また、ピッチ上では周りの選手たちと積極的にコミュニケーションを取る姿が見られ、右ワイドに入った相手のエースに対しても中山雄太と連係してカットインを遮断した。