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舞台演出&脚本に映画主演も…“女優によるプロレス団体”アクトレスガールズの選手たちは「リングで可愛くなっていく」
posted2021/08/04 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
アクトレスガールズは2015年に旗揚げした“女優によるプロレス団体”だ。ほとんどの選手が芸能活動を行なっており、演劇、ドラマなどに出演しながらリングに上がっている。所属する松井珠紗は先日、舞台の脚本と演出を担当。向後桃は主演映画の公開が控えている。
2019年からはBeginningとColor'sという2ブランドを展開。それぞれが興行を開催し、合同興行「ACT」でタイトルマッチが行なわれている。
「芸能人が片手間でやれるほどプロレスは甘くない」
1期生の本間多恵は「今のままでは芸能界でも成功できないという気持ちがあって、何かプラスαの武器になればと」プロレスの世界に足を踏み入れた。プロレスを見るようになったのは入門を決めてから。「強い、怖い」というイメージを持っていたが、実際に見てみると華やかさも印象に残った。
「29歳になる年だったんですけど“自分の人生で今が一番若いんだから”と考えて挑戦することにしました」
最初は右も左も分からない。試合数が少ないから上達のスピードも遅い。「芸能人が片手間でやれるほどプロレスは甘くない」という声も聞こえてきたし、演劇の世界でも「プロレス? 何がやりたいの。どこを目指してるの?」と言われた。ケガで長期欠場も経験している。ただそれでも、プロレスにのめり込んでいった。それだけの魅力があったのだ。
「自分がやったことに対して、すぐにレスポンスが返ってくる。今はコロナ禍でお客さんが声を出せないですけど、その前は自分の名前を呼んでもらって、これ以上ないくらいダイレクトに励ましてもらえるじゃないですか。
勝って狂喜して、負けて大泣きして。あそこまで感情を出せる場所はリングしかないとも思います。普通に大人として生活していたら、あんなに怒ったり泣いたりしないですもん(笑)。でもプロレスでは、感情が出れば出るほど魅力的なんです。一生懸命生きている、命を削って生きているなという実感があります」
現在、本間はアクトレスガールズのタッグ王座を保持している。パートナーは尾崎妹加だ。彼女もアクトレスガールズの1期生だが現在はフリー。本間によると「2年間、連絡すら取ってない時期があった」というところから古巣のリングに上がり、同期タッグでベルトを掴んだ。