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《ソフトボール金の功労者》優勝直後に“頭ポンポン”…神救援で話題の後藤希友(20)を育てた「世にも贅沢な2人の師匠」とは? 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2021/08/02 17:01

《ソフトボール金の功労者》優勝直後に“頭ポンポン”…神救援で話題の後藤希友(20)を育てた「世にも贅沢な2人の師匠」とは?<Number Web> photograph by JMPA

7月27日の決勝、アメリカ戦での勝利後、後藤希友は大エース上野由岐子に頭をなでられた

 1人目はトヨタ自動車のチームメートであり、米国代表左腕のモニカ・アボットだ。実業団1年目の時の後藤はリリーフ役だったが、コロナ禍に見舞われた2年目の昨シーズンはアボットの来日が大幅に遅れたため、先発を任されることになり、そこで実力をつけた。

 昨年11月の日本リーグ決勝トーナメントではピンチの場面でアボットから、「自分を信じて投げていい。周りが点を取ってくれるから、後ろは気にせず、自分のできることを思いきり自信をもってプレーすればいい」と声を掛けられ、精神的な後押しを受けた。

「モニカは経験が豊富で、大きな存在。失点の後に切り替えることができるようになったのはモニカのおかげだし、試合に臨む時の気持ちを教えてくれたのもモニカです」

 実は、関係者によると宇津木監督は東京五輪のメンバー選考に際し、投手枠は2つでいいと考えていた時期があるという。理由は明快。北京五輪までは8チームの参加だったが今回は6チーム。試合数が少なくなっているうえに、敗者復活のページシステムがなくなり、ダブルヘッダーになる可能性もなくなったからだった。

 しかし、昨年からの後藤の成長が監督の心を動かした。宇津木監督は上野、藤田倭、後藤の3投手を選んだ今年3月の日本代表メンバー発表の時、後藤について「左というのが一番の特徴。ボールの種類は少ないが若さの勢いがあり、コントロールとボールの質が素晴らしい。この先のこともある」と選考理由を述べていた。

「上野さんとのペアはめちゃくちゃ緊張します」

 そして、もう1人の師匠は上野である。日本代表合宿では、身長の順番でペアを組んでウォーミングアップを行なっており、上野はチーム最長身の174センチで、後藤は2番目の173センチ。必然的に2人でペアを組むことになるうえに、ジョギングも身長順に2列に並ぶため、2人はいつも隣同士で走っていたそうだ。

 後藤は「代表合宿の時は上野さんとペアになるので、めちゃくちゃ緊張しています」と言いながらも、ジョギング中の会話を通じて精神的な距離感が近づいていた様子。

「トヨタにいると目の前にモニカ、代表に来ると上野さん。そういう経験は私だけ。目の前で見ていると毎日なにかしらすごいなというのが出てくる。背中を見て近づいていきたいと思う」と話しており、世にも贅沢な師匠たちから最高水準の学びを得ている日々を楽しんでいるようにも見える。

【次ページ】 歓喜の輪の中で上野に頭をなでられた

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