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《五輪バスケ》まさかの黒星スタート…“NBAスター軍団”アメリカ代表が誓う結束「家族と過ごす時間を犠牲にしても」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2021/08/02 12:00
チェコ戦で25点を叩き出したケビン・デュラント(7/ブルックリン・ネッツ)ら、NBAの各チームでエース級のスコアラーが集まるアメリカ代表
悔しい黒星スタートだったが、それでも少なくとも自信を失った様子はなかった。それにグループラウンドでの敗戦は、トーナメントに入ってからの敗戦と違い、取り返しがきく。
「選手の間でも、コーチ陣にも、特にパニックしているとは思わない」とケビン・デュラントはチームの雰囲気を語った。
そんな中で、選手たちがやらなくてはいけないこととして口々に語っていたのは「自分らしいプレーをする」「持ち味を発揮する」ということだった。
たとえば、デイミアン・リラード。フランス戦の最後1分半の間にターンオーバーを2回犯しているが、そのうちの1本、残り1分16秒でのターンオーバーは、いつもなら打つシュートを打たずに、味方にパスを出そうとしたのをスティールされたものだった。この時、アメリカは1点リードしていたが、リラードのターンオーバー直後に逆転され、そのまま再逆転することができなかった。
試合後、5年前のリオ五輪でも代表経験があるドレイモンド・グリーンが、リラードにこんな発破をかけた。
「デイミアン・リラードはシュートを打つのに躊躇しないんじゃないのか。しかも試合終盤で躊躇するなんて君らしくない。あれは君が打つべきシュートだ。チームもそれを必要としている。消極的になって、打てるシュートを打たないのはチームのためにもならない」
修正を繰り返していく作業
代表チームには、それぞれの所属チームではエースとして勝負どころの攻撃を担っている選手が何人もいる。NBAで4回得点王になり、MVPやファイナルMVPも受賞しているデュラントを筆頭に、リラード、ミドルトン、ブッカー、ジェイソン・テイタム、ザック・ラビーンはそれぞれチームのエースまたは準エースで、全員がNBAレギュラーシーズンの試合で50点以上をあげたことがあるスコアラーだ。
それだけ選手が揃っている中ではチームプレーを意識することも大事なのだが、その一方で、遠慮し、躊躇すると自分やチームの持ち味を消してしまうことになる。フランス戦のリラードはまさにそうだった。
グリーンから発破をかけられ、リラードも「あれは自分で打つべきだった。今後は修正するし、二度と同じことはやらない」と誓った。チームとしてのケミストリーを築くということは、こういった経験を通して修正を繰り返すことなのだろう。