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《五輪バスケ》まさかの黒星スタート…“NBAスター軍団”アメリカ代表が誓う結束「家族と過ごす時間を犠牲にしても」
posted2021/08/02 12:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
先日、15年ぶりにさいたまスーパーアリーナのフロアに立ったジェリー・コランジェロ(アメリカ男子バスケットボール代表総責任者)は、15年前に同じコートで起きた苦い経験を思い出していた。
「同じ国、同じ街、同じ建物だった」とコランジェロ。
2006年、日本で開催されたFIBA世界選手権は、コランジェロにとって、低迷していたアメリカ代表の立て直しを引き受けて最初の世界大会だった。デューク大の名将、コーチKことマイク・シャシェフスキーが率い、まだ20代前半だったレブロン・ジェームズやカーメロ・アンソニーらを中心に世界と戦っていた当時のチームは、ほぼ毎試合二桁点差、平均25点差をつけて勝ち続け、順調に準決勝まで駒を進めた。
準決勝の相手はNBA選手がひとりもいないギリシャ。決勝進出はほぼ確実と誰もが思っていた。しかし、そのギリシャ相手に思わぬ苦戦を強いられ、6点差で敗れてしまった。後にコーチKが「バスケットボール人生で最悪の敗戦」と言った苦い負け試合だった。
あの時と同じ建物に戻ってきたコランジェロは、15年前の試合後に、ロッカールームに下がる途中で自分の席の前を通ったコーチKが負けて謝ってきたことを思い出していた。「謝る必要はありません。この挫折を生かしましょう」と答えたことも鮮明に覚えていた。
「あの敗戦には大きな影響を受けた。二度と同じことが起きないようにという気持ちでずっとやってきた」と振り返った。
「任務をすべてやり遂げた」
コランジェロは東京オリンピックを最後に現職を退き、グラント・ヒルに引き継ぐことが決まっている。この15年間、コランジェロのもとでのアメリカ代表の成績は101勝7敗(8月1日時点)。無敗の王者ではなかったが、世界のバスケットボールのレベルが上がるなかでも世界をリードし、頂点に君臨してきたことは確かだ。
「この仕事をどういう形で終えたいかと聞かれたら、金メダルがほしい」とコランジェロは東京オリンピックでの目標を語る。
「それが実現すれば、USAバスケットボールでやってきた任務をすべてやり遂げたと思うことができる」