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《五輪バスケ》まさかの黒星スタート…“NBAスター軍団”アメリカ代表が誓う結束「家族と過ごす時間を犠牲にしても」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2021/08/02 12:00
チェコ戦で25点を叩き出したケビン・デュラント(7/ブルックリン・ネッツ)ら、NBAの各チームでエース級のスコアラーが集まるアメリカ代表
そんなコランジェロにとって、東京オリンピック初戦のフランス戦は、まるでさいたまスーパーアリーナでの悪夢が繰り返されたかのようでもあった。
もっとも、15年前と今では状況は大きく違う。今のフランスは当時のギリシャとは違い、NBAの最優秀ディフェンス選手に3度選ばれたことがあるルディ・ゴベアをはじめ、現NBA選手や元NBA選手が8人揃った強豪だ。2年前のFIBAワールドカップ準々決勝でもアメリカに勝っており、今回も、メダル狙いで大会に挑んでいる。
アメリカ側にも決して油断はなく、グレッグ・ポポビッチHCは「この2年、フランスに勝つことを考えてきた」とまで言っていたほどだ。
それでも、第4クォーター終盤で逆転されたアメリカは、76-83の黒星で大会のスタートを切った。2004年アテネ五輪の3位決定戦から続いていたオリンピック試合での25連勝が、大会初戦で止まった。
フランスに逆転を許した4Qの終盤、アメリカはまったくいいところがなかった。フリースローも3Pもことごとく外し、ターンオーバーからの失点もあった。逆にフランスはハッスルプレーからのシュートを決めて勝利をたぐり寄せた。
試合後、逆転シュートを決めたフランスのエバン・フォーニエは「個々の選手の能力ではアメリカのほうが上だけれど、チームで戦えば倒せる」と断言している。
遅れたNBAファイナル組の合流
アメリカにとって、オリンピックやワールドカップはいつも時間との争いだ。ほかの強豪国に比べて選手の入れ替わりが激しく、継続性に欠ける。そのため、大会前のトレーニングキャンプ期間でどれだけチームの完成度を上げることができるかが重要だった。
それなのに、今年はコロナ禍での特別な事情のため、チーム12人全員で揃って練習する機会がないまま本番を迎えた。チームは7月6日からトレーニングキャンプを行っていたが、その時点で参加していたのは現在のロスター12人のうち7人だけだった。
特に影響が大きかったのが、例年より1カ月遅く、オリンピック直前まで行われていたNBAファイナルに勝ち上がった2チームに、代表メンバー入りしていたクリス・ミドルトン、ドリュー・ホリデー(共にミルウォーキー・バックス)、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)の3人がいたことだった。ファイナルを戦い終えた3人が太平洋を越えて日本に到着し、チームに合流したのはフランス戦前夜、しかも日付が変わってからのことだった。
チーム練習をする間もなく、夜のフランス戦に挑んだ。試合終盤に脆く崩れたのも当然といえば、当然だった。