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《高校野球》米子松蔭・ツイートした主将に聞く“140文字に込めた思い”…辞退から一転、“逆転サヨナラ勝ち”のウラ側 

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石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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posted2021/07/31 11:02

《高校野球》米子松蔭・ツイートした主将に聞く“140文字に込めた思い”…辞退から一転、“逆転サヨナラ勝ち”のウラ側<Number Web> photograph by Toshihide Ishikura

自らの意志でツイートした米子松蔭高校の主将・西村虎之助(3年)。甲子園出場の夢は果たせなかったが、最後の夏をグラウンドで終えることができた

 翌18日。切り替えて次に向かうという母との約束があっても、心は揺れていた。このまま試合ができないまま、高校野球が終わってしまうのか。

 野球部の規則では、SNSを閲覧することは認められているが、投稿は禁止されている。閲覧用のツイッターアカウントを持っていた西村主将は、規則違反を承知で思いを発信することを決意し、冒頭のように文面を考え、ツイートした。

「直後から、あっという間に広がっていったんです。びっくりしましたが、どんどん広まってほしいと思いながら見ていました」

 13時26分のツイート直後から、リツイートや『いいね』の通知が止まらない。やがて各界の著名人が反応し始めて拡散スピードが増し、インターネット上では出場を求める署名活動も始まった。

 18日にはツイートとは別に、学校側も県高野連に大会への復帰を求める嘆願書を提出。ツイートの影響も全国的な広がりを見せる中、米子市の伊木隆司市長は18時36分、西村主将のツイートを引用して『わかりました。試合が再調整されるよう、各方面に働きかけます。』とツイートした。

 塩塚監督は不戦敗となって帰宅した17日から、ずっと自宅にいた。当初から同情の声があるのはインターネットを通じて知っていたが、「とはいえ、どうにもならないだろうと思っていました」。18日に嘆願書を受け取った県高野連が西村主将のツイートに対する大きな反響の中で、対応を協議すると聞かされてからは「祈るような思いだった」という。

対戦相手も了承、不戦敗は取り消しに

 19日、県高野連は米子松蔭高の不戦敗を取り消して出場を容認。境高も了承して、21日10時30分から試合が行われることが決まった。西村主将のツイートは最終的に3万回近くリツイートされ、6万5000を超える『いいね』がついた。

 20日10時に集合することになり、西村主将は母の車で学校へ向かった。ツイートのことを知ったときに「あなたには、それしかできないからね」と理解を示してくれた母は、出場が決まると「よかったね。試合ができることに感謝して、頑張ってきなさい」と送り出してくれた。

 全部員が集まり、翌日に向けて練習した。3日間のブランクがあっても「みんなで集まって、試合に向けて練習できることが本当にうれしかった」と西村主将。あのとき泣いていた久白や、女子マネジャーからは「ツイートしてくれてありがとう」と言われた。

 塩塚監督はベンチのホワイトボードに『応援してくださっている全ての人に感謝 そして甲子園で恩返し』と書いた。

【次ページ】 グラウンドで終えた高校野球

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