オリンピックへの道BACK NUMBER
《19歳史上最年少金メダル》体操新王者・橋本大輝は何がすごいのか 高難度の技への挑戦と「常に前だけを見て…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2021/07/29 17:02
19歳にして、体操男子個人総合を制した橋本大輝。内村航平の連覇を継いで、新時代の幕開けを思わせた
オリンピックギリギリまでDスコアを上げ続けた
そして今年4月の全日本個人総合選手権でその成果をみせつけた。Dスコアは36.6点となり、Eスコアをあわせて88.532点を叩き出して優勝したのである。この得点は、世界大会の個人総合でも優勝争いをするに足るレベルであった。
橋本はオリンピックを前に、Dスコアを37点に到達するところまで引き上げていた。各種目で高い難度の技を我が物としたところも目を見張るが、代表選考会まで決して長い時間が残されているわけではない中でチャレンジする姿勢こそ、特筆に値する。そこに気持ちの強さがある。
新王者は涙を流さない
オリンピックの個人総合は内村航平の連覇から橋本が受け継ぎ、日本勢の3連覇となった。周囲の期待に応え、値千金の金メダルを獲得した橋本は、終始、笑顔だった。そこに涙はなかった。
「ここで涙を流してしまうと、今の状態に満足してしまっている状態だと思いました。チャンピオンは涙を流さず常に前だけを見ているという強い気持ちを持っていたかったので」
優勝の喜び、重みをかみしめつつ、新たな王者は、さらに先へ進み、高みを目指すことだけを考えている。
ここが、新たなスタート地点であるかのように。
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