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[後輩より敬愛メッセージ]白井健三「航平さんに出会えたという奇跡」
posted2021/07/29 07:01
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
航平さんと初めて話したのは僕が日体大のジュニアクラブに入っていた小6の時です。航平さんは日体大2年生で、'08年北京五輪に初出場した年でした。たまたま体育館にいるとき話しかけてくれたのですが、その時に言われたのが「リオ五輪は8年後だから君は19歳か。じゃあ君もリオに行けるな」ということです。その時、航平さんは19歳だったんです。「何を言っているんだ、この人は」と思いましたが、8年後に実現したのだからすごいですよね。
日本代表として一緒に海外に行くようになったのは、高2の時の'13年世界選手権からです。僕はこの大会で種目別ゆかの金メダルを獲得したのですが、結果以上に僕を成長させてくれたのは代表合宿でした。
合宿で航平さんがよく教えてくれたのは鉄棒のコバチの車輪や、つり輪の中水平などです。これらは僕が苦手としている種目や技。つまり、日本が団体で戦っていくうえであまりメリットにならないようなことを教えてくれていました。言い方は悪いですが、勝つための団体戦メンバーとして僕を育て上げようというのではなく、本当に一人の体操選手として面倒をみてくれていたような印象があります。
それぞれの選手を見て考えてくれる姿勢はずっと変わりません。今なら例えば(萱)和磨や(谷川)航、(橋本)大輝や(北園)丈琉。航平さんは彼らに誰一人として同じアドバイスをしていないと思います。なぜなら、「健三はこういうタイプだから」というセリフが必ず文頭につきますからね。いつも人をよく見てるし、助言の引き出しも多い。だから合宿の時などは大学や高校の指導者が「航平、教えてあげてよ」と言うんです。それくらい先生方からの信頼も厚いのが航平さんです。