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予選敗退の瀬戸大也はどこで“間違った”のか 追い抜かれたとき「自分は追いかけなくていいやと思っていました」
posted2021/07/25 11:45
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
茫然とした表情と言葉がすべてを物語っていた。
「ちょっと信じられません」
7月24日、競泳男子400m個人メドレー予選に出場した瀬戸大也は4分10秒52でゴールし、全体で9位。決勝に進める8人に入ることができず、この種目は予選敗退に終わった。
バタフライを55秒07のトップでターンし、続く背泳ぎでも1位で折り返す。3つ目は得意の平泳ぎ。ここでリードを広げて最後の自由形へ。
だが自由形では最後の50mで4人に抜かれ、この組の5位。全体でも9位にとどまった。4分10秒52と自己記録から4秒あまり遅いタイムに終わった。立ち上がりからの一連の泳ぎは調子のよさを思わせたし、最後の失速は思いがけない出来事のようだった。
「読み、めちゃくちゃ間違えました」
瀬戸がこう語る理由は、決勝を見据えた戦略にあった。
目標タイムは「4分11秒0くらいでした」
「何番でもよいので、明日(25日の決勝で)、ベストパフォーマンスができるように、自由形も気持ち良く泳いでいて」
午前決勝の今回は、予選から半日あまりで決勝を迎える。体力を温存したい気持ちがあった。だから、「余力はありました」。
予選での目標タイムは「4分11秒0くらいでした」という。それはクリアしているから、他の選手の泳ぎを読み違えていたことになる。
今シーズンの、瀬戸を含めた世界ランキングで見れば、世界の8番目のタイムは4分10秒33。
ただこれは、各国の代表選考会の決勝など選手にとって力の入るレースで出たタイムがほとんどだから、予選からそこまで飛ばしてこないと考えての読みだったのだろう。それに、ライバルの1人になると見られていた若手成長株の18歳、イリヤ・ボロディン(ロシア)は新型コロナウイルスに感染したことで、今大会には出場していない。それも影響したかもしれない。
出場している選手の今大会までの成長、あるいはオリンピックの予選へ懸ける意気込みといった点は、読み通りにはいかなかった。