Number Web MoreBACK NUMBER
《競泳・金メダル》大橋悠依は2年前の夏「生活するのもしんどくなるくらいでした」… 苦しみから救ったスタッフのひと言とは
posted2021/07/25 11:50
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph by
Hiroyuki Nakamura
大橋悠依(イトマン東進)という選手は、どこまで実直で、素直な選手なのだろうか。
28日に終幕を迎えたFINA世界選手権(韓国・光州)、女子400m個人メドレーで銅メダルを獲得した。
そのレース後、「来年に向けて意味のある銅メダルだったと思いますし、今までやってきたなかでも、思い出に残る試合だと思います」と話したと同時に、こんなコメントも残していた。
「気持ち、というよりも、心なのかもしれません。表現が難しいんですけど……。自分のことをまだ全然ダメなんだ、と頑張るためにそう思っていて。それがすごく、生活するのもしんどくなるくらいでした」
世界選手権メダル獲得のために。
2年前のハンガリー・ブダペストで行われた世界選手権の200m個人メドレーで銀メダルに輝いた大橋は、最終日の400m個人メドレーでは力を発揮できずに4位とメダルに届かず、涙を流した。
「メダルを獲りたかったですし、自分でももう少しできると思っていたので、すごく悔しいです」
あれから2年、世界選手権で2種目メダルを獲ることだけを考えてトレーニングに励んできた。2018年のパンパシフィック水泳選手権の200m、400m個人メドレーの2冠も、アジア競技大会の400m個人メドレーの金メダルも、すべてはブダペスト世界選手権で流した涙へのリベンジを果たすためだった。
しかし、今シーズンに入ってから思うように調子が上がらない日々が続いた。4月の日本選手権でも「良い練習はできていましたし、状態は良いと思っていたんですけど、あまり泳ぎがしっくりこないというか、自分に期待しすぎたのかもしれません」と、結果を受け止めつつ、どこか後ろ向きな発言があった。