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「私自身は月経の際、体重や…」東大医学生の三段跳・内山咲良が語る“産婦人科医志望”の理由と競技引退への迷い
text by
町田華子Hanako Machida
photograph byMATSUO/AFLO SPORT
posted2021/07/22 11:03
日本選手権に臨んだ内山咲良。競技と医学、現時点では両立を続けていく予定だ
もし続けるとしたら日本で勝つだけだと……
内山 割と最近の話です。筑波大医学部生で箱根駅伝に出場した川瀬宙夢選手や、外科医でありながらマスターズ100mで優勝した方と対談する機会があって、その時に今後の話になった辺りから迷いが生じるようになりましたね。医者の仕事に支障の出ない範囲で練習を続けることはできるよ、とその二人がおっしゃっていてどうしようかなと(笑)。
でも、もし続けるとしたら日本で勝つだけだと足りない気がしていて、その先に世界が見え始めたら続けてもいいかなと思っています。今、日本の女子三段跳って「13m跳んだらいいよね」という世界なんですけど、オリンピックの参加標準記録は14m32で、日本記録は14m04くらい。それくらいの記録が見えてこないと、続けるのはな……と。
――現時点では、残り短い予定の競技生活で何を目指しますか?
内山 まずは自己ベストを出したいです。一回しか13mを跳べていないのでそれを更新したうえで、日本選手権ではできれば表彰台に乗りたい。全カレ(日本学生対校選手権)も強い選手が出てきますが、表彰台、その先の優勝を狙いたいと思っています。
日本選手権8位は「低調な結果」だった
取材後に行われた日本選手権で内山は8位入賞。後日、心境の変化を聞くことができた。
――日本選手権8位という結果をどのように受け止めていますか?
内山 率直に言うと、悔しい結果だなと感じています。自己ベストを出したかったし、表彰台を狙っていたので、目標と比べるとかなり低調な結果に終わってしまったなと。
――その結果の要因についてどう考えていますか?
内山 振り返ると、当日は冷静さを欠いてしまったかなと思いますし、体の状態としては出力のピークを過ぎていたのかなと思います。長期的なスパンで見た時のピーキングの失敗と、当日少しメンタル的に落ち着けなかったこと、それによって修正が効かなかったことは、悔いが残る部分です。
――競技引退か続行かで迷っているというお話でしたが、日本選手権を経て気持ちに変化はありましたか?