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“東大の女子医学生”が三段跳で関東学生No.1に 「しんどすぎる練習ではなくて…」内山咲良が語る“自立した部活”の価値
text by
町田華子Hanako Machida
photograph byKyodo News
posted2021/07/22 11:01
関東インカレ女子三段跳を制して笑顔の内山咲良(中央)。文武両道のアスリートだ
内山 それは大いにあると思います。先生の指示した練習が絶対だ、という姿勢で従っていたのではなくて、自分で考える余地がかなりありました。大学では先輩方からメニューをもらうこともあるのですが、自分で考えないといけないことも多かったので、その環境には比較的適応しやすかったと思います。
大学に入って「今までのやり方を捨てた」
――では、大学でさらに一皮むけた要因は?
内山 今までのやり方を捨てたことかなと思います。3年の冬に走幅跳から三段跳に変えるという選択をして、練習の内容もかなり大きく変えました。それまでは高校の冬練でやっていた走り込みなどの練習にウエイトを置いていたのですが、記録が伸び悩んでいたところに短距離のコーチから「もっと短い距離で強度の高い練習をしないと、それ以上の結果はないよ」ということを言われて。
不安もあったのですが、今までのやり方でダメだったんだから大きく変えないといけないなと切り替えて、種目も練習内容も変えるという決断をした結果上手くハマりました。そこで変化に対してひるまなかったことが良かったのかなと思います。
大学3年の終わりに「関カレを狙える」
――三段跳に適性を見出したのはいつですか?
内山 実は高校の関東合宿で「三段跳をやったら?」と言われたことがありました。でも三段跳は当時インターハイの種目になかったので、インターハイを目指すなら走幅跳しかないし、三段跳に軸足を置くのは難しいということでやりませんでした。大学1年の時は体を戻すことが最優先だったのでやらず、2年の時は怪我してしまい、冬練でも跳躍練習を積むことができませんでした。
だから、3年時も当初は三段跳にチャレンジする余裕がなかったんです。ただ、一度だけお試しで三段跳に出てみたら、思ったより良い記録が出て、「これだったら関カレを狙えるな」と思って3年の終わりから挑戦することにしました。
――ちなみに高校の部活引退後、グラウンドで三段跳の練習をしている先輩を目にした記憶があります。
内山 走幅跳が終わったら三段跳をやってみようかなという気持ちは高校の時からありました。ただなかなか機会がなくて……。大学では対校戦がすごく多くて、チームとして出るので枠を埋めないといけない。100mと走幅跳と、砲丸投か400mのどちらか、リレーの4種目がデフォルトになっていたので、他のことをやる余裕があまりなかったです(笑)。
内山咲良(Sakura Uchiyama)
1997年生まれ、神奈川県出身。東京大学医学部医学科6年。筑波大学附属中入学とともに陸上競技を始め、主に走幅跳に取り組む。3年時に都中学通信7位入賞。同高校3年時に南関東高校総体で3位に入り、全国高校総体への出場を果たした。2016年、国内最難関の東京大学理科III類に現役合格し進学。大学4年時に本格的に三段跳を始め、同年、日本学生対校選手権で準優勝。5年時は日本選手権6位。今季は関東学生対校選手権優勝、日本選手権8位。自己記録は、走幅跳5m78、三段跳13m00。
<第2回「東大現役合格に医学、勉強との両立」編に続く。関連記事からもご覧になれます>
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